社会人になり、当然のように仕事にウェイトが移りました。でも、次のステップは具体的に考えており、仕事に余裕ができたら新車を購入するつもりでいました。
アルプスの輪行ランドナー〈クイックエース〉と今野製作所の〈ケルビム・ロード〉のニ車種です。
専門誌で情報収集や多摩川サイクリングロードでポタリング中に、すれ違う自転車のチェックもしていました。
1970年(昭和45年)3月、当時の国鉄が帆布製の袋に入れた自転車を有料手回り品として列車内持ち込みを許可しました。
条件は、JCA(日本サイクリング協会)会員証を提示し、有料手回り品切符を購入するというものでした。
いわゆる輪行制度が正式に始まりました。その数年後にアメリカ発の環境に優しいバイコロジー(なつかしい気がします)ブームがやって来ますが、日本ではコマーシャリズムにはのったものの、残念ながら反応はいま一つでした。
1970年代、自転車業界は実用車からスポーツ車へと完全にシフトし、盛り上がりを見せていました。
戦前からの老舗メーカー、大資本をバックにした新興メーカーなど、大手中堅あわせて15社は下らず、個性的なハンドメーカーも加わり、それぞれ、さまざまなスポーツ車を発売していました。
1973年(昭和48年)の夏の終わり、24才になろうとしていました。神田のアルプスを訪ねました。予測していましたが、人気の〈クイックエース〉は納期3ヵ月とのことでした。
ひょっとすると、販売代理店のほうがが早いかもと思い、次に船橋のセオサイクルを訪ねましたが、同じでした。ただし、オリジナルの SEOS 輪行車ならばフレームの在庫があれば2-3週間でOKとのことでした。