1台ありました、天井からぶら下がる中に私の希望サイズ、ホリゾンタルで530㎜、黄色というか辛子色のクロモリのフレームです。好みのパーツを指定し、そのフレームで組み上げを依頼しました。
SEOS輪行車の仕様はアルプスと同じで、クランプ(クイック)バンドをゆるめてハンドル部を抜くというシンプルなものです。価格は9万円ぐらい(輪行袋を除く)だったと思います。
完成を待つあいだ、輪行に必要な JCAの会員証を取得するため、上野にある東京サイクリング協会を訪ねました。当時、個人の入会金が1,000円、会費は1,800円でした。
この会員証を提示して、チッキといわれる荷札のような手回品切符を購入し、輪行袋にくくり付けます。チッキには駅名と日付けがスタンプされ、行き先は手書きされます。当初の料金は80円でしたが、のちに100円、150円と推移したように記憶しています。
この列車内持ち込み制度で、正式に自転車を持ち込めるようになり、おおむねサイクリストには好評でしたが、疑問を持つ人も少なからずいました。
「なぜ自転車だけ有料なの? 大きなリュックやスキー板はどうなの?」
「都道府県によっては個人の入会を認めないサイクリング協会があるけど、その人達はどうなるの?」
「国鉄の職員のなかには、そもそもこの制度自体を知らない人もいる」
「手回り品切符なんて買ったことないし、今まで注意されたこともない」
などの声も聞かれました。この制度がやがて消滅したのは、このあたりに原因があったのかもしれません。