昼前にはカスティーリャ・レオン州とマドリッド州の州境、標高1511mの峠 Puerto de Guadarrama に着きました。グアダラマ峠は、古代ローマやイスラム軍の侵攻のころから戦略的な要衝だったようです。
峠には Alto del León(丘の上のライオン)と呼ばれる大きな石像の記念碑があります。地球といわれる球体をつかむライオン像の台座には、時のスペイン王が1749年に建てたものだと刻んであります。スペインの国旗には幾つかの国章も描かれおり、その中にはレオン王国の象徴ライオンもあります。
大航海時代にはアフリカから奴隷、南米から多くの金銀を略奪して繁栄を極めたスペイン帝国ですが、18世紀に入ると国力は徐々に落ちていきます。そんな状況だからこそ国王の力を誇示するために、このライオン像を建てたような気がします。
近くにはスペイン内戦時代のトーチカも多く残っていますが、徒歩での山登りになるようなので、行くのを止めました。
この先50数キロ、マドリッドの標高は667m、峠との標高差約850m、いよいよ下りが始まりました。夜はマドリッドの Y.H. に泊まるつもりです。
下ること15分ほど、急に視界が開けました。眼下には1頭の馬が、そして、つづら折りの道の向こうにはメセタと呼ばれるスペインの中央台地が広がっています。マドリッドまでは直線距離でおよそ30kmでしょうか、天気がよければボンヤリと見えるロケーションですが、あいにくの天気でガスって見えませんでした。