「アメやガム」と書いて、思い出したことがあります。スペインの街角にはボックス型の小さな Quiosco(キオスク)が立っています。
扱う商品は日本の駅売りキオスクとほぼ同じです。日本でおなじみのスペイン発の棒つきアメ玉「チュッパチャップス」も売っていました。
街角のキオスクは電話ボックスを一回り大きくしたぐらいで、中に人がいて応対しています。学校帰りの子どもたちもよく利用し、アメ玉1個、板ガム1枚、チョコ1個、タバコ1本など、バラ売りしてくれます。
ただ、代金のやり取りがちょっとおかしいのです。ボックスの一辺にカウンターが付いていて、子どもたちは、指に挟んだ硬貨をカウンターに叩きつけます。すると、中のオジサンやオバサンも同じように硬貨を叩きつけるのです。
初めてそのようすを目にしたときは、双方とも怒っているように見えました。どうやら、お金のやり取りをハッキリと音でも確認させるためのようです。
「ここに代金を払ったゾ」バシッ
「ここにお釣りを返すゾ」バシッ
こんな感じでしょうか。
このやり取りは、ときどきバルでも見かけました。日本とあまりにも違うお金の扱い方に驚かされました。
バダホスの街の日本人露店商
ポルトガルと接するエストレマドゥーラ州の州都、古代ローマ遺跡の街 Mérida をへて、約60km先の Badajoz の街に到着しました。バダホスの標高は183m、マドリッドから500m近く下ったことになります。
人口は11万強、古くから要衝の地で、ポルトガルとの国境まではもう10kmもなく、目と鼻の先です。最近ではどんぐりを食べて育ったイベリコ豚(イベリア半島の豚の意味)の産地として有名です。
しばらく野宿が続いていた私は、ポルトガル入国を前に、ゆっくりしようと宿を探していました。一軒目の宿では断られてしまいました。人通りの多い広場を自転車を引いてウロ付く私に、突然横から声がかかりました。
「こんにちはッ、日本人だよね~」
見知らぬ土地での日本語に驚いて、声がした方を振り向くと、細長いテーブルを前に黒いキャップに赤いダウンジャケットを着た日本人男性らしき人が座っています。
鼻の下には立派なヒゲを蓄えていますが、私と同年代に見えました。回りには数軒の出店が並んでいましたが、彼のお店が一番小さいようです。