グアディアナ川の支流、国境のカイア川を渡り、スペインからポルトガルへ入国しました。入国審査は荷物チェックもなく、厳しくありませんが、入国票を提出させるなど、キチンとした印象でした。
係官はパスポートの発行日をチェックしながら、ポルトガル語で何か聴いているようですが、理解できない私は、英語で「自転車旅行中だ」と答えました。
すると、それ以上の質問もなく、パスポートに〈20. DEZ. 1982 ENTRADA CAIA〉の入国スタンプを押してくれました。
気になる言葉の問題ですが、私の持参した「六ヵ国会話」にはポルトガル語は載っていません。いずれ英語のわかる人に出会ったら、具体的にいろいろ質問してみるつもりでいました。
安心材料として、スペイン滞在の1ヵ月で飲食など身近な言葉や水・米・パン・卵など食品の単語は、必要に迫られて比較的早く覚えることがわかっていました。
国境から15キロほど行くと、エルヴァスの街に着きました。スペイン側の国境の街バダホスでは、要塞のようなカテドラルに驚きました。エルヴァスは街全体が空堀と城壁に囲まれていて、何やらアニメにでも出てきそうな雰囲気の街でした。
車1台が通り抜けられるほどの城門をくぐり(街の出入口は4ヵ所の城門のみです)、しばらく進むと街の中心と思われる広場に出ました。
さっそく銀行で両替を。
- $100=9,000 escudos
- 1エスクード=約2.7円。
続いて、インフォメーションセンターを訪ねてポルトガルの地図をもらい、そのほかいろいろと尋ねてみました。すると、「ポルトガルの旅行もいいですが、国の史跡に指定されているこの街をぜひとも観光してみてください」ということでエルヴァスの観光マップと資料を渡してくれました。
エルヴァス観光
ポルトガルでの初日、急ぐこともありませんので、薦められた街の観光をすることにしました。エルヴァスは古くから軍事的な要衝の地で、たびたびスペインに攻め込まれて、何度かスペイン領になったこともあり、自ずと街全体が戦いに備える造りになったようです。
ナポレオン軍の侵攻時にポルトガルとイギリスの連合軍がフランス軍と戦ったのも、このエルヴァスの地でした。
街の北に位置する Castelo de Elvas(エルヴァス城)に登ってみました。城壁のさらに北の丘には戦いの最前線になったと思われる要塞があり、反対側の南の丘にも同じように要塞が見えていました。
街の西にはアモレイラの泉から水を引く、その名も Aqueduto da Amoreira(アモレイラの水道橋)と呼ばれる有名な水道橋がありました。橋の工事は15世紀後半に始まり、1622年の完成まで100年以上要しました。
高さ30m、アーチの数は800以上、イベリア半島最長の7.5㎞、凄いのは400年たった今でも現役だということです。壁には街の紋章が描かれ、外敵に備えてでしょうか、そのドッシリとした男性的なフォルムは堅牢さを物語っているように見えます。
〔セゴビアのローマン水道橋に古さじゃかなわないけど、頑強さじゃ比べもんにならないナ〕街は2012年に「国境防衛都市エルヴァス」として世界遺産に指定されました。