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異文化・北アフリカ: Morocco(1)セウタからモロッコへ

1983年2月3日(木)の朝、いよいよアフリカへ向けて出発です。当然ながら、私もW君も気合が入っています。

しかし、港へ行くと、いきなり出端をくじかれました。強風のためタンジール行きのフェリーが欠航しています。それでも、スペイン領セウタ行きのフェリーは運行していました。

「急ぐわけじゃないけど?明日出直しても、また風で欠航かもしれないし、このままセウタに行かないか? そこからタンジールに行こう」
「いいですよ、そうしましょう。セウタでゆっくりしてもいいし」

タンジール(Tangier)もセウタ(Ceuta)も、ともに英語読みです。現地モロッコでは、アラビア語以外はTanger と Sebta と表記されることも多く、発音も違います。国名のモロッコも、英語の Morocco のほかに Maroc や Marokko と表記されています。

ニホンがジャパンやジャポンやハポンなど、さまざまに呼ばれるのと同じようです。日本国内でも、時にニッポンというぐらいですから。日ごろ、私達が見聞きしているのはあくまで英語です。現地はともかく、海外での国名、地名の表記や呼称は、意外とバラバラなことが多いようです。

大型フェリーに乗船すると、ペンキで塗りつぶされていますが、船体を構成する太い鉄材に、IHI(石川島播磨重工業)のロゴを見つけました。他にも塗りつぶされていますが漢字のラベルや刻印が見てとれます。

新船で就航したのか中古船なのかはわかりませんが、海外で出会った日本製のフェリーがヨーロッパとアフリカをつないでいるのを、少々誇らしく思いました。

セウタまでは1時間ちょっと、強風のせいでかなりフェリーは揺れています。

「そろそろ、セウタの港が見えてきますよ。Hさん甲板に出てみましょうよ」
「え~、結構揺れてるぜ」
「だからいいんですよ。行きましょうよ」

私より若いW君は行動的です。彼に言われるままに甲板に出てみると、くもり空のもと、近づくセウタの港が見えてきました。強風のせいで甲板は水しぶきを浴びていますが、風自体はそれほど冷たい風ではありませんでした。

「あれッ、手袋がない」フェリーを降りてから気がつきました。あわてたつもりはないのですが、乗船時に落としてしまったようです。セビリアで買った少々値の張る(約4,000円)のセーム革の手袋ですが、使用したのは1週間足らず。セウタで新しい手袋を買うことにしました。

W君の希望もあり、1日セウタで過ごし、タンジールへは翌日出発することに。

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