遅れてW君が半笑いで出てくると、小声で
「Hさん、聞こえました? やってましたね」
「ああ、聞こえたよ。まさかなぁ、こんなところでなぁ。何かあわてちゃって、すぐ出てきたよ」
「あれ、僕の隣のシャワー室です。最初、小声でゴソゴソしてたんですけど、ついに始まっちゃたんです。いや、ビックリしました」
「それにしても回りの客は驚いたようすもないな」
イスラムは、本来ほかの宗教に対して寛容だったといわれます。同じように同性愛にも寛容だったようです。一時期、欧米のホモセクシャルの人たちが北アフリカに移住したという話も聞きました。しかし、イスラム原理主義が台頭してくると同性愛を厳罰に処す国も出てきました。近年、年端もいかぬ少年が処刑されたことがありました。
フェズの街のハマム(公衆浴場)で、まさに驚きのハプニングに遭遇しました。それでもハマムの良さを知った私たちは、その後走行中に街でハマムを見つけては「ひとっ風呂浴びてくか」そんな感じでたびたび利用していました。ただ残念な(?)ことに、二度と男同士のヨガリ声を聞くことはありませんでした。
「思い出+α」って何?
お酒が安いこともあり、スペインのセビリアで毎晩のように痛飲していました。そのせいで肛門の脇にイボ痔(?)が一つできてしまいました。そこへきて、モロッコでは慣れないトイレということもあり、もう一つ反対側にもできました。
痔の状態がわからず、W君に見てもらうと(彼は笑って覗いてくれました。ゴメン!)、赤く腫れているとのことです。いっそのことパンクしてしまえば早く直るのですが、そうもいかず軟膏を塗りながら痛みをこらえて日々走っていました。
ところが、フェズの宿で毎日シャワーを浴びて体を清潔にし、ハマムで体を温め、そして何よりも5日間も自転車に乗らなかったことが功を奏したようで、腫れが引いていったのです。このことが私にとっては一番嬉しいことでした。