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異文化・北アフリカ: Tunisia(1) 問題発生!! チュニジア入国

目が覚めると、窓越しにポツリポツリと雨粒が落ちているのがわかりました。この日、3月25日はアルジェリア滞在ビザ1ヵ月の最終日。いずれにせよ、チュニジアに向けて出発しなければなりません。

私たちはホテルをチェックアウトすると、カフェで遅い朝食をとり、わずかばかり残ったアルジェリアのお金でホブスとオレンジとタバコを購入し、きれいさっぱり使いきりました。これでスッキリして出国できます。

チュニジアへと続く国道44号線をしばらく走り、Oum Teboul という小さな町を過ぎるとアルジェリア側のドアンヌ(税関)はありました。パスポート・チェックと簡単な書類審査で出国オーケーです。

登りが徐々に始まり、どうやらチュニジア側へはひと山越えなくてはならないようです。平均斜度10%の山道の先、チュニジア側のドアンヌに着いたころには、朝から降り続いていた雨が勢いを増し強風ともに大雨に。ビショビショになりながらの国境越えになりました。

雨に濡れて冷たくなった体をタオルでぬぐうと入国書類に記入し、パスポートと一緒に提出。3月25日のスタンプを押されて、これで無事にチュニジアへ入国です。

破り取られたパスポートの1ページ

ところが、ここで問題が起きました。W君の入国審査に手間取っているのです。彼のパスポート・チェックをした係官は私たちにしばらく待つように言い、もう一人の係官に何やら話すと奥でテレックスを打ち始めました。

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若い人には馴染みがないと思いますが、テレックスとは電話回線を使って受信側のテレプリンターに同時に記録通信できるシステムです。現在、ファックスや電子メールにとって代わり、ほとんど見かけなくなりました。

明らかにようすが変です。どこかと連絡を取り、W君の身元を照会しているようです。異変を感じたW君も小声でしゃべり始めました。

「実はパスポート1枚破り取っちゃったんですよ。多分それですよ」
「えっ、破り取った? 何で?」
「イスラムの国にとってマズイ国へ行っていたんで」
「マズイ国って、イスラエル?」
「そうです」

彼の話では、ノルウェーでの農業研修の休暇時にイスラエルを訪ねたことがあるそうです。リスボンで私と出会い、一緒に北アフリカに行くと決めた時にイスラエルの渡航歴があると面倒かと思い、イスラエルの入出国スタンプの押してあるページを破り捨てたというのです。

イスラエルの渡航歴があっても、ごく一部の国を除き入国に支障はないはずです。今回は彼の早とちりのようです。外交関係はともかく、当時すでにチュニジアはイスラエルを国家として認めており、渡航歴があっても入国に問題はないはずです。

「今までの国で引っ掛からなかったんだから、逆にチュニジアのドアンヌは大したもんだよ」
「僕も全然気にしていませんでした」
「係官に聞かれるまでパスポートを破ったことは、こちらから話す必要はないと思うよ」
「そうですかね。大丈夫でしょうか?」
「大丈夫。W君は怪しい者じゃないんだから身元を照会すれば、すぐにオーケーになるよ」
「だといいんですけど、何かすいません」
「いや、かえって雨宿りにちょうどいいよ」

しかし、私たちの気持ちとは関係なく、時間はどんどん過ぎていきました。

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