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異文化・北アフリカ: Tunisia(12) ギリシャへ行きましょう

この日、私が大使館に行ったこともあり、W君とは朝から別行動でした。それでも珍しくホテル近くの食堂で一緒に晩飯をとる約束をしていました。

なぜ珍しいかというと、高級レストランならアルコールがありますが、私たちが利用するいわゆる定食屋にはアルコールが置いてありません。ですから、アルコール好きの私たちはホテルの部屋で一杯飲みながらの晩飯になってしまいます。

ただ、嬉しいことにチュニジアのスーパーには必ずといっていいほどビールとワインが置いてあり、部屋で飲む分には支障がありません。

私たちがいつも食堂で注文するのは、安くて味に間違いのないクスクス料理とホブス。クスクスとは粒状の小麦粉を蒸したもので、北アフリカの料理の定番。

クスクスと日替わりでメインになる羊肉や鶏肉や魚をトマトベースのスープで煮込んだものを合わせたのが一般的なクスクス料理です。

「ダメだった。まだ荷物が届いてないよ。あした、日本に電話してみる。さっきホテルの兄ちゃんに国際電話の掛けかた聞いといた。あとリビアだけど、危ないみたいだ。行かない方がいいな」

私は、先に着いて待っていたW君にそう言うと、大使館でhさんから聞いた話を続けました。その後、運ばれたクスクス料理を食べながら、二人の相談が始まりました。

「じゃ、Hさん。エジプトへは船ですか?」
「それなんだけど、もともとエジプトから先の中東は危険だから、行くつもりはなかった。エジプトからはヨーロッパへ渡るつもりだったんだよ。でも、それだったらエジプトへ行くのを諦めて、このままイタリアへ行こうと思っているんだ」

「へぇー、イタリアですか……」
「もしリビアがダメなら、と思って、東欧のガイドブックを日本から送ってもらうよう頼んであるし。で、W君。この先一緒に行くの? 決めた?」
「はい、行きます。お金がなくなったら、そこから日本へ帰ります。あした、僕も両親に電話します」
「よし、わかった。それじゃぁ、この先もよろしく」

ひと呼吸あって、

「Hさん、ギリシャはどうですか? ギリシャへ行きましょうよ」
「ギリシャ? ギリシャは俺も行きたいよ。でも、自転車王国イタリアは外せないよ」
「じゃ、イタリアからギリシャっていうのはどうですか?」
「そうなると、時間とお金がかかるよ。大丈夫か?」
「無理ですかね?」

「じゃ、こうしよう。イタリアは北の方まで行かないで、ローマからひと山越えて、アドリア海だっけ長靴の反対側に出て、船でギリシャへ渡る。どう?」
「いいんじゃないですか。それなら余裕でギリシャまで行けそうです」
「えっ、余裕か? 問題はアドリア海側からギリシャへ行く船があるかだな」
「そうですね。後でホテルの兄ちゃんに聞いてみますか?」
「うん。ダメならチュニスの港で確かめてみよう」

フロントの兄ちゃんの話では、チュニスの港からイタリアの数ヵ所に週何便かのフェリーが出ているそうです。ただ、「イタリアからギリシャへは知らない」との返事。どうやら港で調べる必要がありそうです。

その後、チュニスの港でイタリアの船会社に尋ねると、長靴のカカトとにあたる部分の港町 Brindisi[ブリンディジ]からギリシャ行きのフェリーがあるとわかりました。

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