「クエスト ビチクレッタ ジャポネーゼ?」
「ええ、日本製です。でもサドルはイギリスのブルックス、カンティ・ブレーキはマファック、リムはスーパーチャンピオンでフランス製ですよ」
「シー、シー、ロソ。イングレーゼとフランチェーゼだ」
どうやら店主の興味は私の日本製の自転車にあるようです。ヨーロッパでは振り分けタイプのパニアバッグに荷物を詰め込むツーリング車が多く、サイドバッグ四つで走る低重心のちょっと変わった日本仕様のツーリング車は人目を引きます。
店主は私の自転車のパーツをチェック、日本のメーカーのシマノやサンツアーは知っているようです。ラグで繋がれたフレームに目を移すとダウンチューブに貼られたラベルを見て「古いな」と一言、ラベルには老舗のフレンド商会のロゴとともに HAND MADE そして SINCE 1933 (昭和8年) の文字がプリントされています。私はボトムブラケットの近くに貼られたもう一枚のラベルを指差して店主に聞いてみました。
「これ、丹下のクロモリのバテッドチューブなんだけど、丹下って知ってる?」
「タンゲ? ノン・ロソ。フレームチューブといえばイタリアでは COLOMBUS (コロンバス) だよ。イタリアーノ・ビチクレッタ・ウーノ!」
出ました。イタリア人の自国製品に対する愛着というか自慢というか、私がよく耳にした言葉です。
この旅行ではギリシャへ急ぐためイタリア自転車の中心地ミラノをはじめとする北イタリアへは行けませんでした。それでも私は、街道沿いで自転車屋を見つけると、時々ひやかしにお店をのぞいていました。自転車好きの私と違い、W君は旅の手段としての自転車選択でしたから、彼にしてみれば私にオツキアイということになります。
お店で何を買うわけでもないので、断りの一言をナポリの近郊で出会った英語を話せるイタリア人チクリストに教えてもらっていました。
「入っていいですか? 見てもいいですか?」は「ポッソ エントラーレ? ヴェデーレ?」、そして「チャオ」を忘れないようにと教えてもらっていました。
イタリアの自転車屋は日本のように間口が広くなく、大きなショーウィンドウでもないので、一見わかりにくいのですが、通りに自転車が並んで置かれているので、何となくそれとわかります。
狭い入口の奥は意外にも広く、作業場の他に多くの自転車が並んでいます。スポーツ車専門店は意外にも少なく(のぞいた範囲ですが)、並んでいる自転車の7-8割ほどがタウン・ユースのおしゃれなデザインの一般車、残りがロードバイクなどのスポーツ車です。
たまに高級ロードバイクが置かれていることもあります。言葉は通じませんが、使用されているパーツのメーカー名を上げるだけでも店主と盛り上がります。
そんな時に店主から聞くのが「イタリアーノ・No.1」「イタリアーノ・ウーノ」の言葉でした。[ハイ、ハイ。おっしゃる通り、イタリアの自転車は一番ですよ!] 私には返す言葉がありませんでした。
いいですね〜何歳から始められたのかしら
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自転車に興味を持ったのは子供の頃からです。中学生になるとドロップハンドルのいわゆるスポーツ車に乗り始めました。その辺りは、目次Japanから読んで頂けたらと思います。海外へは30才を過ぎてからです。もちろん現在も走りに関しては現役です。一連のブログが終了したらリアルタイムでお届けしたいと思っています。
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