国道8号はコリントス運河を過ぎると、右手にサロニコス湾を眺めながら走行することになります。湾の外海はミルトア海、そしてエーゲ海へと広がっています。
5月6日はギリシャ正教では〈復活祭前の金曜日〉で休日です。私たちは知りませんでしたが、橋の上で会った若者たちが教えてくれました。コリントスの街の多くの商店が閉まっているのも、そして前夜の花火もそのお祝いだったのです。
ギリシャ正教では、休日を算出するのに一般的なグレゴリオ暦ではなくユリウス暦を使用します。そのためキリスト教に関する休日が年ごとに変化します。
運河で2時間ほど船の通過を待ったため、私たちはこの日のうちにアテネに着くのを諦めました。アテネまでは残り55キロほど。日没まではまだ時間がありますが、私たちは早めに海辺でキャンプ。
そして、今度は私が頼みました。
「明日はアテネだろ。二人でキャンプするのもきょうが最後だから、記念の写真を撮ろうよ」
「そうですか。じゃ、Hさん僕の隣に座ってください」
「その前にW君一人で1枚撮るから。いい? 撮るよ」
「今度はセルフで、二人並んで撮るから」
「ハイ、ハイ。早く、早く」
「おっと、タイミング悪いな。 もう1枚」
こうして記念に3枚の写真を撮りました。
この日の午前中、アテネに向かう途中で久々に海外旅行中のサイクリストに遭遇しました。カナダ人の彼が乗っていた自転車は27インチ、海外向け仕様の日本製「ナイスバイクだ。気に入ってるよ」。
彼は私たちと反対コースを北上してイタリアから最終目的地オランダのアムステルダムまで走る予定のようです。たがいにギリシャとイタリアの情報を交換し「グッドラック」。
昼過ぎにアテネに到着。アテネ市内にはいくつかの丘があり、街の中心に近づくにつれパルテノン神殿の立つアクロポリスの丘と一番高いリカヴィトスの丘が目立ってきました。
いつものようにまずは宿探しから。情報収集は街の中心〈シンタグマ広場〉に面した通りにあるインフォメーション・センター(NTOG 観光協会)で。シンタグマ広場は憲法広場という意味で、1834年にこの広場で新生独立国としての憲法発布があったことにちなんでいます。
広場の周辺には高級ホテルもありますが、安宿はこのシンタグマ広場と西隣の地下鉄の駅モナスティラキ広場を結んだ南側のプラーカ地区周辺にあるようです。インフォメーションでも宿の予約をしてくれますが、自転車を引きながら自分たちで探すことにしました。プラーカ地区の通りからアクロポリスのパルテノン神殿が見え隠れしていました。
アテネの街は私たち貧乏旅行者にも優しく、安宿にはこと欠かないようです。ドミトリーなら一人1泊200Dr.(ドラクマ)ほど、日本円で約700円。ダブルでも二人1泊600Dr.で約2,000円。
私たちにはアテネで観光のほかにすることがありました。W君は日本へ帰国するための飛行機のチケット手配、私は隣国ブルガリアへのビザ取得です。そのため宿は1週間の連泊をお願いしました。
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