ブルガリア側の国境の町 Kulata(クラタ) で入国審査が始まりました。ここクラタから首都 Sofia(ソフィア)まで、北へ200キロを切っています。
係官が私の話を聞きながら入国票に記入してくれました。続くパスポート・チェックもアテネで取得したビザの確認だけで終了です。
最後に荷物検査。自転車のバッグから荷物を取り出してテーブルに並べ、チェックが終ると順次バッグに戻していきます。
係官は私のカメラに興味を持ったようで、ファインダーを覗きながらズームを試しています。おそらく、ブルガリアではこの手のカメラは珍しいのでしょう、もう一人の係官も手に取ると二人で何やら話し始めました。[シャッターだけは押さないでくれよ。フィルムが入ってんだから]
同じ社会主義国のアルジェリアと比べて和やかというか、あまり緊張感のない入国審査が終ると、次は奥のカウンターでブルガリアのお金 Lev(レフ) の両替です。アルジェリアと違い強制両替はありませんが、いくら両替したらいいのか考えていました。
アルジェリアでは思いの外高い物価に驚きましたが、おそらくブルガリアの物価はそれほど高くないはずです。ソフィア観光の後はそのままユーゴスラビアへ向かうつもりなので、滞在期間はおそらく1週間ほど、とりあえず50ドル分を両替することにしました。
社会主義国のお金はひとたび国外に出ると使うことも両替することもできません。
そこで私は一応確認してみました。「レフが余ったらドルかマルクにまた両替できるの?」「大丈夫できます」との返事。[本当かよ?!]
ツーリスト用レートで50$=85レフ。1レフ=約140円。
ギリシャを流れるストリモン川は、ブルガリアに入ると Struma (ストルマ) 川と呼び名が変わりました。ソフィア近郊を水源とするこの川に沿って欧州道79号線を北上して行きます。
街道脇の大きなモニュメントの先にはブルガリアの高峰が連なるピリン山脈、その頂きには5月下旬というのに残雪が見えています。反対側左手の山並みの向こうはユーゴスラビアです。モニュメントにはブルガリアの文字、キリル文字で何やら書かれていますが、何だかわかりません。
氷河期の地形を残すピリン山脈の最高峰は標高2914mのヴィーレン山。周辺一帯には大小取り混ぜて多くの湖沼、樹齢千年を超す大木、絶滅危惧種を含む多くの動植物が生息しており、ピリン国立公園となっています。
左右に続く美しい山並みを望みながらの走行、そんな楽しい気分をそぐのが午前中からたびたび起こる夕立でした。
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