時刻は正午、Blagoevgrad(ブラゴエフグラッド) の街でブルガリア2日目にして初めての買い出しです。
ブルガリアには多くの温泉地があります。古くから栄えた街ブラゴエフグラッドもそんな温泉地として、また近年では周辺の充実したスキーリゾート施設で知られるようになりました。[温泉か…ソフィアに着いたらノンビリと温泉にでも入ろうかなァ]
アルジェリアに比べると物は豊富なようで、お店には多くの商品が並んでいます。それでもまだ不足品があるのか、時おりお店の前に行列する人たちが目につきました。
「ブルガリアと聞いて思い浮かべることは?」の問いに、私の答えはテレビの旅番組から得た「ヨーロッパではハンガリーに次ぐ温泉大国、そしてバラとヨーグルト」その程度です。
ブルガリアを東西に走るバルカン山脈とその南に位置するスレドナ・ゴラ山脈に挟まれた谷間に「バラの谷」と呼ばれるバラの生産地があり、香水の元となるローズオイルの生産量世界一として有名です。「バラの国」と呼ばれるブルガリアをテレビの画面を通して知っていました。
一方、ヨーグルトに関してはネパールへ旅立ったW君にも「Hさん、ブルガリアでヨーグルトを食べるんでしょ」と念を押されるほど知られています。理由は、あの商品のネーミングによるところが大きいようです。ヨーグルトはトルコ語、ブルガリアではヨーグルトを「キセロ・ムリャコ(すっぱいミルク)」と言います。
20世紀初め、ロシアのノーベル賞学者メチニコフがギリシャ国境に近いブルガリアのスモーリャン地方の1000mを超す村々に長寿の人が多いのはヨーグルトによるのではないかと言い出し、一躍ブルガリアのヨーグルトが脚光を浴びるようになりました。
さて、あの商品とはお馴染みの「明治ブルガリアヨーグルト」です。もともと、70年の大阪万博のとき、(株)明治の社員が「ブルガリア館」のヨーグルトを持ち帰って研究に取り組んだことに始まります。
当初は「明治プレーンヨーグルト」という商品名でしたが、ブルガリアのヨーグルト菌を使用しているためブルガリアから正式に許可をもらい、73年に「明治ブルガリアヨーグルト」に名称変更したのです。
諸説あるようですが、ヨーグルト発祥の地はバルカン半島といわれています。ブルガリアの主食かともいわれるヨーグルトが、どこの食料品店にも当然のように大量に並んでいました。ほとんどが透明なビニール袋に入れられています。なかには羊やヤギの絵のものも。[ヘェー、ビニール袋に入ってるんだ、羊やヤギのヨーグルトもあるのか]
あとでわかったのですが、ブルガリアではいろんな具材が入ったスープや煮込み料理にもヨーグルトを使用します。たっぷりの野菜と羊やヤギのチーズが入ったサラダもポピュラーな料理です。
ヨーグルトの価格はかなり安かったと記憶しています。その味についてはハッキリ覚えていませんから、ごく普通(明治ブルガリアヨーグルトの味?)ではなかったでしょうか。
その日のメモに「ワインは売ってるのに、ビールが見つからない!!!」と三本のビックリマークで書いています。ビール好きの私には、ヨーグルトよりもこちらのほうが大問題でした。