ただ、あいにく修復作業中ということで行けませんでした。それでも初日に市内の教会で多くのフレスコ画のイコン(宗教画)を見たので、それでよしとしていました。
結局、ソフィア市内を自転車でポタリングすることにしました。ブルガリアには広場で開かれているバザールと呼ばれる市場があります。この日も賑やかなバザールを見つけたので冷やかしにのぞいてみました。
食料品をはじめ、衣類に靴、ホウキ、バケツ、その他……何だかわからないものも。[いろいろあるじゃん。土曜日だからか、人出も多いなァ]地方の町で商品欲しさにお店に並ぶ行列を見ていただけに、ソフィアの物の多さにホットし、驚きもしました。おなかが減ったのでバザールの出店で簡単に昼飯をすまして、再びポタリング。
公園のアチコチに人だかりができているのはチェスをやっているからです。ギリシャがバックギャモン(西洋双六)ならブルガリアはチェスです。チェス好きなブルガリア人が公園のテーブルやベンチで対局する姿をよく目にしました。対局者も観戦者もみな男性、真剣な表情でタバコをくわえて盤上を見つめています。
Bulgarian tobacco
タバコで思い出したことがあります。83年当時、ブルガリアもギリシャと同じく喫煙率が高く、男性の約半数、女性の3割が喫煙者でした。
葉タバコの生産地としてアメリカや中国が知られていますが、南バルカン地方も葉タバコの生産地として有名です。ギリシャ、ブルガリア両国の喫煙率が高いのもその辺に起因しているのかもしれません。道中、私も何度か葉タバコ畑を目にしました。
19世紀にはブルガリアで本格的なタバコの生産が始まっていたようです。私が当時ブルガリアで吸ったタバコはパッケージに大きく BT (Bulgarian Tobacco の略か)とありました。一箱150円、物価の安いブルガリアでこの価格は高く思えますが、ツーリスト・レートで換算してのこと。実質価格はもっと安いと思います。
BT のタバコの評判はよく、葉タバコの輸入などままならない当時の共産圏、ソ連や東欧諸国へ輸出しており、ブルガリアの輸出で大きな割合を占めていたのではないでしょうか。
気になっていたものの前日は素通りしたセントラル・ハリ(中央市場)をのぞいてみました。
1989年、政変によりこの中央市場は閉鎖されますが、近年再開しています。街のメインストリートは南にのびるヴィトシャ通り。カフェやレストラン、洒落たお店も並んでいます。宿のお母さんの話では「昼間より夜の方が賑やか」とのことでした。
ヴィトシャ通りの遠く先には一昨日右手に走り抜けたヴィトシャ自然公園の2千m級の山々が見えていました。ヴィトシャ自然公園はバルカン半島で最も古い公園で国定公園に指定されています。
[晩飯食べて帰るかナ。この辺のレストランは高そうだし道々安い食堂でも探そう。ビールも飲みたいし]明日はユーゴスラビアへ出発です。ソフィアからユーゴスラビアとの国境まで60キロもありません。