E5号線はトール・ロード(有料道路)区間になりましたが、自転車だけは無料で走れました。もちろん、舗装状態は良く走りやすいのですが、相変わらずの車の多さと走り抜ける車のスピードに、どうにもストレスが溜まっていくばかりです。
ベオグラードまで、あと100キロほど。[いずれにしろ、明日になればベオグラードだ。この道はやっぱ疲れるナ。たまには脇道を行くか]午後からE5号線を外れ、地方道を行くことにしました。地方道は曲がりくねり、道路コンディションも良くありませんが、そのお陰で(?)車の交通量は少なくノンビリと走ることができます。
この日は幹線道路を避けた Smed. Palanka (スメデレベスカ・パランカ) の町外れの川辺にキャンプ。車のストレスによる疲れか、少々飲み過ぎたワインのせいか、グッスリ寝込んでしまいました。目ざめさせてくれたのは羊の鳴き声でした。
テントからはい出ると、辺りは羊の群れ。羊飼いのお婆ちゃんとお孫さんらしき男の子が私の方を見ています。取りあえず大きな声で「グッドモーニング!!」と挨拶すると、朝飯のしたくに取りかかりました。
朝飯を終えると羊飼いのお婆ちゃんたちに見送られ(?)、前日に続き、地方道をベオグラードへと向かいました。
数キロ手前の丘の上からベオグラードの街並みがボンヤリ見えてきました。街の中心を取り巻くように15~20階建てのビルが林立しています。[ふ~ん。ソフィアと同じだ。たぶん高層住宅なんだろうナ]
ハンガリーからユーゴスラビアへと広がるパンノニア平原の南端、ドナウ川とサバ川の合流地点に開けた街がベオグラードです。ヨーロッパ最古の街の一つで有史前から人々の営みがありました。
まずはユースホステルを探してチェックイン、ユースホステルの宿泊はギリシャのテッサロニキ以来になります。受付の青年にベオグラードの観光スポットを尋ねてみました。
「街の見所ねぇ。この国は昔から戦争が多くて、古い建物も破壊されて残ってないんだ」
「古い建物はいいよ。何かないの?」
「薦めているのが街外れの丘の上の公園だよ。古い要塞があるんだけど、その下でドナウ川とサバ川が合流しているんだ」
「へ~、要塞ね」
「小さな博物館もあるよ」
「わかった。サンキュー、あした行ってみるよ」
これまでもユースホステルでは世界中のいろな国の人と一緒になっていました。この日、4人部屋のドミトリーの同室者はスリランカ人とイラク人の二人です。
挨拶を交わすと、お互い自然に旅の話や自身の話をし始めました。なんの違和感もなく話している自分に[俺も旅なれたもんだなァ]そんなことを感じていました。