キャンプ場の車はほとんどがドイツナンバーです。しかも、お年寄りが多く、フランツ爺さんの話では「物価の安いハンガリーでノンビリ旅行しながら過ごしてるんだよ」とのことでした。
「ウィーンまでの道は任せておけ。途中、息子の所に寄って1泊するからな」。[爺さんは頼もしい地元の道先案内人だ。これで安心して走れる]と、出発したのですが、いきなり道を間違え、引き返すことになりました。
すまなそうなフランツ爺さんでしたが、その後は順調[爺さん、すごいな。ついていくのがやっとだ]走りは、年齢を感じさせないスピード感あふれるものでした。彼の自転車は日本でも時おり見かけるドロップハンドルを反転したものです。
オーストリア側の国境ではパスポートをチェックしたのみ、入国スタンプすら押してくれません。物足りない私は「記念に押してくれ」と、お願いすることに。
6月11日(土)、オーストリア入国。
1オーストリア・シリング=約13円
国境から15キロほど、Gattendorf(ガッテンドルフ)の街から E5号線を外れて北へ。夕方にはフランツ爺さんの息子さんの待つキャンプ場に到着。朝早々に道を間違えたものの、この日の走行距離は97キロになりました。
キャンプ場といっても、仲間とシェアするセカンドハウスのような別荘地です。近くにはウィーン近郊を源流とし、ハンガリー国内でドナウ川に合流するライタ川が流れていました。
この日は週末の土曜日とあって、共有広場では、すでに大勢でビール・パーティが始まっていました。
息子さんは鼻の下にヒゲを蓄え、メガネをかけていますが、フランツ爺さんにそっくりで、すぐにわかりました。息子さんは広告代理店に勤めているとのことです。
テーブルの上にはビールの入った大きなガラスのピッチがデンと置いてあり、各々自分のビールグラスに注いで飲んでいます。もちろん、ワインのビンも。あいさつもそこそこにビールをグイッ、フランツ爺さんともども、みんなに追い付こうと自然とピッチが上がります。
日が暮れて暗くなると、広場の上に渡された裸電球がともされ、ビールパーティは夜遅くまで続きました。
オーストリアの人は仲間と一緒にビールやワインを飲んで語り合うのが好きなようです。その後に訪れたドイツでも公園やキャンプ場で同じような光景をよく目にしました。
息子さんのセカンドハウスでシャワーを借りると、その夜はそのまま広場の芝生の上にテントを張って就寝。