運河にかかる橋を渡ると、ほどなくしてプラター公園です。その手前から観覧車の一部が見えてきました。
映画「第三の男」
[観覧車もデカイけど、ゴンドラもやっぱデカイや]観覧車が完成したのは1896年、当初はゴンドラの数は30、現在は15ですからちょうど倍です。写真で見るゴンドラの間にもあったことになります。経年劣化や耐久性を考えて収容人数ともども減らしたそうです。
映画「第三の男」は1949年にイギリスで製作された白黒のサスペンス映画です。カンヌ国際映画祭でグランプリを取っています。同年生まれの私が初めてこの映画を観たのはテレビでした。
当時ウィーンの街は1955年の独立まで連合国側の米英仏ソ4ヵ国の駐留軍に占領・分割されていました。映画の中にもジープに乗った占領軍の兵士が登場しています。敢えてなのか画面には戦禍を表す瓦礫が写り込むシーンも出てきます。
そんな重苦しい時代背景を反映するかのように白黒の画面にはチロル地方の民族弦楽器チターによるテーマ曲が流れています。この曲を日本のビールのテレビ・コマーシャルで聞き覚えがある方もいると思います。
映画の後半、ジョセフ・コットンとオーソン・ウェルズが演じる主人公二人がプラターの大観覧車の前で再会します。ゴンドラの中での二人の話し合いはこじれ、悪役のオーソンがあわや落下かというシーンも。もちろん実際のゴンドラは内側から扉が開きません。
「突っ込みどころが多い、つまらない映画だ」という人もいますが、私はこの映画が好きでウィーンではぜひロケ地のプラターを訪ねるつもりでいました。
映画の最後は男女二人が並木道を歩くシーンですが、プラターで撮影したはずです。広い公園内を散策がてら撮影現場を探してみましたが、それらしいところはあったもののなにぶん30年以上前の映画シーンですから確信は持てませんでした。
プラターの北、ドナウ川岸まで出てみると広い庭園にポツンと1本、煙突のようにドナウタワーがそびえ立っていました。フランツ爺さんの話ではタワーができたのは1960年代初め、何かのモニュメントのようです。高さは250mほど、回転式レストランで食事したとも言っていました。
庭園から右に目を移すと近代的なビルが建ち並んでいます。国連都市と呼ばれるUNO City (ウノシティ)です。2-3年前にできたとのことでした。
原子力や難民関連の国際機関があり、ウィーンの新名所になりつつあるようです。ウィーンに国連機関が置かれるのはオーストリアが中立国だからでしょうか。
ウィーンの旧市街へ戻り,ブラブラと街を散策、フランツ爺さん宅へ着いたころには日も暮れかかっていました。二日間行ったり来たりしたウィーンの旧市街は「ウィーン歴史地区」として2001年に世界遺産に登録されています。