昼前から雨、たびたびの雨宿りで距離も伸びず、リンツに着いたころには暗くなり始めていました。
ウィーンからリンツまで E5号線はアウトバーンでしたが、リンツから再び一般道になります。だだし、その先は北西へとドイツを走り抜けていきます。ブルガリア、ユーゴスラビア、ハンガリー、そしてオーストリアと、ともに旅を続けてきた E5号線とも、この地でお別れです。
リンツの街ではテントを張る場所が見つからず、やむなく街外れのキャンプ場へ。
1泊70シリング=約900円。ちょっと高いようです。ユースホステルのほうがよかったかもしれません。
E5号線と別れて、リンツからザルツブルクへ。前日に続き、この日も雨中の走行になりました。
この日の目的地は Attersee(アッターゼー=アッター湖)です。南北に20キロと細長い湖でオーストリアで二番目の大きさです。夏には大勢の避暑客でにぎわう観光地、その湖畔で1泊するつもりです。
湖畔はすべて私有地のようで、テントを張る適当な場所が見つかりませんでした。やむなく、この日もキャンプ場へ。36シリング=約450円。
遠く山頂に雪が見えています。アッター湖は美しいコバルトブルーの湖面で知られていますが、湖全体が小雨に霞んでよくわかりません。[あしたは晴れないかなぁ]
朝、目をさますと、幸い雨は上がっており曇り空でした。左手にずっと湖を眺めながらの走行が続きます。[確かにコバルトブルーだ。晴れていたら、もっと明るくて鮮やかなんだろうな]
リンツからそれほど上った気がしませんが、途中からザルツブルクまで一気に下りました。市内観光は翌日に回し、街に入ると、すぐユースホステルにチェックインしました。
ユースホステルではスペインのバルセロナの子どもたちの団体が先客でした。お国がらでしょうか、陽気でにぎやかです。スペインのユースホステルでも子どもたちの団体に遭遇したことがありましたが、同じように陽気でした。
あしたは一日かけて市内観光をするつもりです。ユースホステルの受付の女性に聞いてみました。
「街の見所はどこか教えてください」
「お城にはみなさん登るようです。ケーブルカーですぐです。あと〈Getreidegasse(ゲトライデ通り)〉は古くからのお店が並ぶ観光スポットです。モーツァルトの生家もこの通りにあります」
「ゲトライデ通りですね」
「あとはサウンド・オブ・ミュージックツアーというバスツアーも人気があります。日本人のみなさんよく行きますよ」
「バスツアーですか」
「街のインフォメーションを訪ねたらいいですよ。詳しく教えてくれるはずです」
「わかりました。ありがとうございます」
[へぇー、サウンド・オブ・ミュージックツアーか。やっぱり人気なんだ]