昼食が終わると、さっそくお隣へ。玄関先の階段で小さな男の子三人がオモチャの自動車で遊んでいました。金髪の男の子に声をかけると、ウォルターさんは玄関のドア越しに「マリース!!」と大きな声で何度か呼びました。
しばらくして、家のなかから出てきたのはウィルフレッドによく似た(逆?)金髪の女性、お姉さんのマリスです。ウォルターさんが事の成り行きをマリスに説明しています。話が終わると、お姉さんが
「ノブさん、ウィルフレッドの両親にも会ってください。これから案内します。この上です、ほら見えるでしょ」
マリスの指差す先、丘の上に一軒の家が見えています。距離にして300mぐらいありそうです。
「あの丘の上の家ですね」
「自転車はウチで預かっておくから、心配いらないよ」
「じゃ、ウォルターさん、お願いします」
ウォルターさんが玄関先で声をかけた男の子はマリスの息子、ステファンといいます。ステファンを連れて、丘の上のウィルフレッドの実家へ。
最初に出迎えてくれたのはお母さんでした。しばらくすると、野良仕事をしていたお父さんとウィルフレッドのお兄さんもやって来ました。
仕事休憩ということで、家のなかで再びお父さん、お兄さんとビールで乾杯しました。再びというのは、昼食時にウォルターさんと乾杯していたからです。
ウィルフレッドのご両親に、アメリカのイエローストーンでウィルフレッドと出会った話をしました。お兄さんが通訳してくれました。ビールを飲みながら、しばしの休憩が終わると、お兄さんが、
「オヤジが夕食にバーベキューをやるからまた来るように言っています。今夜はマリスの家に泊まるようにとも言っています。いいですか?」
「ええ、もちろん構いませんが、マリスさん、いいんですか?」
「はい、私の夫にも会ってください」
みなさんの写真を撮らせてもらいました。ウィルフレッドとマリスはお父さん似、お兄さんはお母さん似です。お父さんは上半身裸、暖かい日はこのスタイルで仕事するのがお父さん流とのことでした。
夕方、マリスの家でシャワーを浴びると、いつもの一張羅(コットンパンツに紺のチョッキに白いシャツ)に着替え、バーベキュー会場の丘の上のお父さんの家にみんなで向かいました。ウォルターさん一家も、マリスの5歳の息子ステファンと2歳の息子パスカルも一緒です。
「バーベキュー何て久しぶりですよ。アメリカのキャンプ場以来だから、一年ぶりです」
「ウチも子どもが小さいころはよくやったけど、最近はご無沙汰だ。オヤジさんとのバーベキューもいつだか覚えてないな」
ウォルターさんもバーベキューは久しぶりのようです。
お父さんの家の庭では、すでに網の上で食材を焼いています。ウインナーはもちろん肉、野菜はお父さんの畑でとれた自慢の品々。
まずはお父さんの音頭で乾杯。少し遅れてマリスの夫、あごひげを蓄えたルーディが仕事帰りにやって来ました。三家族12人と私の全員がそろいました。
ビールがなくなると、ワインで乾杯。お父さんの粋な計らいで、楽しい時間を過ごせました。お礼に1曲歌ったはずですが、酔っぱらっていたからか、その歌自体がグチャグチャだったのか、何を歌ったのかも覚えていません。