何しろ寝たのが明け方、いよいよ出発といってもかなり日が高くなってからです。残念ながら、ステファンとパスカルの二人はまだお祖父さんの家です。
マリスが声をかけるとお隣のウォルターさんの一家全員で見送りに出てきてくれました。日曜日でお店も休みのようです。
実は、ウォルターさんはキャリアの修理はおろかトウクリップや予備タイヤもタダで提供してくれていました。
ウォルター家全員で記念写真を一枚。真ん中で座っているのが、娘さんのハイジです。
「ウォルターさん、みんなタダにしてもらっちゃって……」
「気にしなくていいから。それより道中気を付けてな。これは私の店のシールだ。記念に持って行って」
「へぇー、シールですか。さっそく地図に貼らせてもらいます」
「はい、これ果物。途中で食べてね」
マリスからは果物を手渡されました。
「お父さんたちにもよろしく伝えてください。日本に帰ったら手紙を出します。ウィルフレッドには、帰国したら連絡くれるように言ってください。ルーディもいろいろとありがとう」
「ブルーノの家で何かうまいもの食べさせてもらえよ」
「うん。じゃぁ、みなさん出発します。アウフビーターゼン」
イエローストーンで会ったウィルフレッドとの会話は30分足らず、アクシデントで立ち寄ったとはいえ、家族や知人がこんなに歓迎してくれるとはうれしい限りです。同時に、こんな素敵な人たちに囲まれているウィルフレッドを羨ましくも感じました。
これがそのとき地図に貼ったハインツマン2輪ショップのシールです。
白く浮かんで見えるのがスイスの国土です。フランス、イタリア、オーストリアと接する南部と東部の国境はギザギザなのが良くわかります。これは山々の稜線が国境となっているからでしょう。
ヨーロッパの国別コード
〈AVIA〉はスイスの大手石油関連企業で、〈CH〉はスイスの国別コードです。
私が初めて国別コードを目にしたのはアメリカからイギリスに渡った時でした。車の後部右側にハッキリとわかる大きさの楕円形のシールに〈GB〉のアルファベット(グレートブリテンの略)。
その他、少ないものの〈F〉や〈D〉も目にしました。これがヨーロッパ中を行き来する車をどこの国の車かひと目で見分けるアルファベットの国別コードでした。スペインへ渡るフェリー乗り場では別のアルファベッドのシールを目にしました。
〈CH〉がスイスの略号とわかったのはしばらくしてからでした。聞くところによると、スイスを表すラテン語からきてるそうです。ちなみにスペインはエスパニアの〈E〉、〈S〉はスウェーデンの略号です。
現在は〈ユーロプレート〉と呼ばれる共通のナンバープレートがあり、国別コードはそのプレートの左端に表示されています。だだ、スイスは EU に加入していませんから、おそらく以前のままでしょうか。
このアルファベットの国別コードですが、URL にも利用されています。