グロックの家があるシュヴァルツホイゼルンから Bern(ベルン)までは60キロ弱。
スイスの7月は行楽のベストシーズンですが、思いのほか雨が多く、この日も曇り空のもと出発したものの、途中から雨が降りだしました。それでもベルンの街に着くころには、雨も上がり、薄日が射すまでになっていました。
まだ昼を過ぎたばかりです。ベルン中央駅1階の観光案内所で地図とパンフレットをもらい、市内散策へ出てみました。[見所は旧市街に集中してるし、半日もあれば回れそうだ]
ベルンの街はベルナー・アルプスを水源とするスイス最長のアーレ川がU字形に大きく曲がっている台地に東西に広がっています。地図を見ると、東に向かって、まるで舌先が伸びているように見えます。
街の歴史はさほど古くなく12世紀にツェーリンゲン公爵によって開かれました。人口は15万に届きませんが、ベルン州の州都、またスイス連邦の首都でもあります。
街の西に位置する中央駅から東へと自転車をゆっくりと走らせ、街の中心へ向かいます。シュピタル通りからマルクト通りに進むと、ベルンの街のシンボル、ツィットグロッゲと呼ばれる時計塔が見えてきました。 もともと、旧市街の端の西門でしたが、大火の後に時計塔へと変わりました。
時計塔の大時計の下には、天文時計と呼ばれる、もう一つのからくり時計があり、ニワトリの鳴き声とともに、ピエロや小熊の人形が動き出します。それが人気となり、毎時ごとに多くの観光客を集めていました。
ただし、この時は足場が組まれており、改修か掃除か何やらお色直しの真っ最中でした。この年1983年にベルンの旧市街は世界遺産に指定されています。お色直しはそれに合わせたものだったのかもしれません。
写真の手前、道路の真ん中に立っているのが飲料用の噴水塔です。市内には形の違う11の噴水塔があり、それらを訪ねて回るのが観光客に人気のようです。
観光パンフには、橋を渡ったローゼン・ガルテン(バラ庭園)の丘から見るベルンの街の景色がすばらしいとあります。私は行ってみることにしました。
旧市街をさらに東へ進むと、ニーデック橋に出ます。橋のそばには数匹の熊を飼っている施設があります。ベルンの街の名の由来はドイツ語の Bär (ベーア=熊、複数形は Bären ベーレン)になる、とブルーノが教えてくれました。
街を開いた公爵が狩りに出て捕まえたのが熊だったそうで、それ以来、熊が街のマスコット的な存在になったとのことです。ベルン州の州章も熊になっています。
橋のそばのこの熊の施設は熊にとって環境がよろしくない、と度々クレームがあったそうで、その後、橋の右手にベーレングラーベン(熊公園)というプール付きの立派な施設に生まれ変わっています。
橋を渡り、左に見える丘へ。写真を撮るにはいいロケーションに思えました。そこでバラ庭園に行く途中で写真を一枚。
手前はニーデック橋の下流のウンタートーア橋、家々の屋根の色はすべて統一され、オモチャのようで可愛くさえ見えます。ひときわ高い塔はベルン大聖堂、その右の丸い屋根が連邦議事堂、さらに、その右にほんのチョコッと見えているのが時計塔の尖塔です。
再び旧市街。これは広場で撮った一枚。
広場の一角がチェス盤になっていて、お年寄り同士で大きな駒を動かしながら対戦していました。
夕暮れが近くなったこともあり、この日の移動は諦めました。ユーゴスラビアのベオグラード以来、約1ヵ月ぶりのユース・ホステル泊です。