ぐるっとヨーロッパ: Switzerland(18) あれがモンブラン!!

曇り空のもとアルヴ川沿いの山あいの街シャモニーに到着。道路をはさんで左右の山へロープウェイが急角度で延びているのが目に入りました。大人数を運ぶためでしょうか、ゴンドラもかなりの大きさです。

シャモニーは第一回冬季オリンピックの開催地でもあり、ウインタースポーツが盛んなことで知られています。一方、夏期にはトレッキングや登山などの愛好家のほかにアルプスの最高峰 Mont Blanc(モンブラン、白い山の意味)目当ての多くの観光客を集めます。

モンブランの標高は定期的に計測されており、35年前の地図には4,807ｍとありますが、現在は4,810ｍとなっています。

幹線道路から右に入るとすぐ観光案内所がありました。資料をピックアップすると街の中心の広場へ。広場から延びる道がメインストリート、カフェやみやげ物屋など多くのお店が並んでいます。観光客のなかには日本の団体さんの姿も見られました。

Telepherique Aiguille du Midi(テレフェリック・エギーユ･ド･ミディ)と書かれた看板が見えるでしょうか。テレフェリックはフランス語のロープウェイ、エギーユ･ド･ミディは正午の時針という意味です。

誰がいつ見たのか知りませんが、正午に太陽が昇る地点ということで標高3,842ｍにあるロープウェイの駅名になっています。広場の先にロープウェイの駅があり、街との標高差2,800ｍを30分足らずで昇っていきます。

この山中の駅は観光客がモンブランを間近に見ることができる展望台として、またアルピニストには登山の入り口となっています。私は考えました。［展望台まで昇っても、この曇り空じゃモンブランは拝めないかも知れないなぁ。晴れ間を待つには3,842ｍは寒すぎる。やっぱ広場で待とう］

広場には〈バルマとソシュールの像〉という銅像があり、そのジャック・バルマ(1762-1834 Jacques Balmat: 水晶採掘人で猟師)の指差す先がモンブランの頂だということです。私はその像の後ろに陣取ることにしました。

バルマは医師ミシェル・ガブリエル・パカールと二人で1786年にモンブランの初登頂に成功しました。オラス＝ベネディクト・ド・ソシュール(1740-1799 Saussure, Horace Bénédict de)はスポーツ登山の創始者といわれ、モンブラン登頂に賞金をかけたスポンサー、地質学者でもあります。翌年、自らもモンブランに登頂しています。

なぜパカールではなくソシュールとの銅像になったのか? 疲労困憊のパカールはバルマが引き上げた、と悪意を持った噂が流れた結果、初登頂の記念像はスポンサーのソシュールに替わってしまったのです。→モンブラン初登頂の真相はこちら

後年、当時の登頂のようすを目撃していたドイツ人によってパカールも自ら登頂したことが証明されました。その後、1986年の登頂200年祭にあわせてパカールの座像が作られ、二人の後ろ姿を見るように広場の片隅に置かれることになりました。

大きな石の上に二人の像があります。写真ではわかりにくいですが、ソシュールの背中に手を回し、右手でモンブランを指差しているのがバルマです。

自ら作った昼飯を早めにとりながら、広場で待つこと１時間。ラッキーにも雲が切れ、バルマ像の指差す先にその雄姿が現れました。［うん、あれか? (右手前のドーム･デ･グーテ 4,304ｍ)いや違うな、その奥だ。あれがモンブランだ!!］薄くさす日の光を受け、ゆるやかな円錐形の白い頂モンブランが見えていました。