朝目をさますと、一番で天気を確認しました。昨夜の雨は上がり、曇り空です。[よし、行くぞ]あとは晴れることを期待するだけです。
ユースホステルを出る前に受付のオジさんに気になる天気を聞いてみました。
「登山電車で上まで行くんですけど、天気はどうですかね?」
「天気予報では雨は降らないようだ。大丈夫じゃないかな」
「そうですか。よかった」
「風もないし、日が高くなれば、晴れ間が見られるかもしれんよ。下より山の方が天気がいいこともあるしね」
「そうですか、だといいんですけど」
本当にそう願っていました。マッターホルンを目の前で拝むチャンスなど、そうそうあるものではありません。登山電車の駅はツェルマットの鉄道駅の前にあります。いったん町へ出なければなりません。
服装は一番の厚着と思いセーター、下はニッカーボッカーに似せてジャージをまくし上げてハイソックスにいつものスニーカー。寒さ対策のウインドブレーカーと水入りボトルをポリ袋へ。
サンドイッチ用の食材とチョコレートもポリ袋に入っています。まあ、首からはカメラを下げていますから、山へ登るという格好ではないかもしれません。
町の中心まで歩いて15分ほど。「サンドイッチならコーラだろう」と思い、途中の売店で1本購入。本音はビールなのですが、山でのアルコールは思いのほか酔うので、ここは我慢です。
前日もらった資料で登山電車はチェック済みです。本数は1時間に2本のペース、終点 Gornergrat(ゴルナーグラート)駅の標高は3,130mです。ツェルマットとの標高差約1,500mを長さ約9キロの鉄路で43分かけて上ります。
電車は9時15分発、上でしばらく散策して昼食後ノンビリとハイキング気分で町まで下るつもりです。車両は二両編成でしたが、ハイシーズンには三両四両と増えるのではないでしょうか。軌道の真ん中にラック(歯車)があるアプト式電車です。
乗客は座席数の半数ほどです。トレッキングの格好をしたカップル、ふだん着にジャンパー、コートを手にしたグループも。景色を満喫したあと電車で下るのでしょう。スキー板を抱えた人もいます。終点駅の先にロープウェイがありますから、上から山スキーを楽しむのでしょう。
電車は定刻どおりに出発、急な斜面を避け緩やかな斜面を探すかのように山肌をゆっくりカーブしながら上って行きます。緑の草木や森はしだいに赤茶けた地面や灰色がかった石や岩へと変わり、やがて残雪が見えてきました。
写真(パンフレット)はツェルマットのパノラマです。パンフ裏面はゴルナーグラート登山鉄道の料金表とタイムテーブルになっています。
真ん中のグニャグニャした赤い線が登山電車、右はロープウェイですが、稜線でイタリア側からのロープウェイとつながっています。町外れのユースホステルの場所をパノラマの中に入れてみました。