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ぐるっとヨーロッパ: Switzerland(31) 兵役制度と冷戦体制

グロッグの説明によると、

スイスでは男性は20才になると全員が3-4ヵ月間軍隊に入隊しなくてはなりません。そこで兵隊のイロハから実戦訓練まで学ぶそうです。一旦これで兵役は終了します。

その後、年に1回、3週間の兵役義務があります。グロッグとMさんが話していたのはその期間のことです。30才になると毎年3週間の兵役は終了し、その後は国からライフル銃を預かり一定の年令まで非常時の自宅待機兵になるのです。

「へぇー、ライフルが渡されるんだ。タマも?」
「もちろんタマもさ。それと国境で頑強なゲートを見なかったかな?」
「いや、わからなかった。全然気がつかなかったけど」
「戦争が起きるとすぐに、すべての国境が閉鎖されるんだ。場合によっては橋も爆破するよ。高速道路もすぐ滑走路になるんだ」
「へぇー。すごいんだね」
「国民全員を収容できる核シェルターも用意してある」
「核シェルター? 全員?」
「各自治体で人数分の核シェルターを用意している。一般家庭も家を新築する時はシェルターを作らなければならないと法律で決まっている。うちもそうだけど、シェルターがない家は人数分のシェルター利用税を納めなきゃいけない決まりだよ」
「徹底してるね」
「こんな時代だからね」

永世中立国を唱えるスイスですが、いざという時には「何があっても自分たちのことは自分たちの手で守る」、グロッグの話からはスイスの強い意志が感じられました。

1983年はまだ東西冷戦時代です。実際、この話の1月半後の9月1日に大韓航空の民間旅客機が領空侵犯したと、ソ連軍の戦闘機によって撃墜されています。東西ドイツを象徴するベルリンの壁が崩壊したのは6年後の1989年のことです。

この時のグロッグの話にはまだまだ説得力があったのです。Switzerland(11)で触れましたが、その後国民投票によって現在でもスイスの国民皆兵は続けられることが決まっています。ただし、兵役に関する考え方が変わりつつあるようです。

兵役を望まない男性は30才になるまでの毎年、年収の3%を国に納めれば兵役を免除されるようになりました。その割合は対象となる男性の約4割、どうでしょうこの数字、これからも増えていくのでしょうか。

また、スイスでは銃による事故や事件が増えたため、実弾なしのライフル銃が渡されるようになりました。有事の時にあらためて実弾を渡すように変わったのです。

 

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