朝6時半に起床、納屋作りの手伝いです。この日は土曜日、グロッグはもちろん、少し離れた隣家のオジさんとその息子も納屋作りの手伝いに来ていました。おそらく、人手がいるときはご近所同士で協力しあうのでしょう。
私は自転車を納屋に保管させてもらっていましたが、だいぶボロだとは感じていました。新築には納得です。
男手は私を含めて6人、どこまでできるか楽しみです。ド素人の私が任されたのは指定された寸法に材木や板材をノコギリで切ることです。隣家の息子さんと二人でひたすらカットしていきます。単純作業ですが、力仕事、すぐに汗が吹き出しました。
庭の一角にすでにコンクリートの土台だけはできていました。そこに支柱を立てて骨組みを完成させたら板材を打ち付ける、それがこの日の作業になります。
昼食には冷たいビールも出ました。もっと飲みたい気持ちをおさえてコップに2杯、後はジュースで我慢です。
すべてカットし終えたのは2時過ぎ、グロッグはすでに屋根にトタンを打ち付け始めています。次に私が任されたのは外面に打ち付けた板材にニスを塗ることです。まあ、ペンキ塗りよりは簡単そうです。ニスをどの程度塗るのか教えてもらい、これまた単純作業が続きました。
辺りが暗くなり、作業は終了。まだ納屋の入り口は手付かず、外面のニス塗りも残っています。私はグロッグに聞いてみました。
「これでどのぐらいできたの?」
「半分は終わったかな? あと2回か3回で終わると思う。この夏のうちにはできるよ。予定通りだね」
完成途中の納屋に母屋からコードが引かれ、電灯に明かりがつくと、Mさんと義母さん二人の手作り料理で夕食が始まりました。やっとビールがガッチリ(?)飲める楽しい時間です。
向かいでグロッグのお父さんと一緒に飲んでいた隣のオジさんが、私の方に来てカタコトの英語で何か言い始めました。オジさんは時おりグロッグ家に出入りしていましたから顔見知りですが、挨拶だけする程度でした。
酔っぱらったオジさんの話がよく聞き取れません。どうやら「お前はよく仕事をした。あした、我が家の昼飯に招待してやるゾ」と言っているようです。「ビールは飲めるのか?」と、私は聞いてみました。
ことの成り行きをグロッグが同時通訳よろしく、みなさんに説明しています。
オジさんの返事は「オフコース」、私は「オーケー」で、互いに握手をして交渉成立です。Mさんの義母さんが拍手をしていました。
スイスの日曜日はノンビリしています。リゾート地の観光案内所でさえ閉まってしまいます。休日法の決まりでもあるのでしょうか、日本とはえらい違いです。
すでに私はドイツへ出発する準備を終え、この日はお隣で昼飯をご馳走になるだけです。グロッグ家のみなさんも日曜日につき納屋作りはお休み、私のまわりにもノンビリした時間が流れていました。
翌日の朝、私はドイツへ出発する前にMさんと義母さんの写真をお願いしました。チューリッヒでお世話になったブルーノとKさんの写真を忘れていたので、一緒に並べます。