ぐるっとヨーロッパ: West Germany(5) ハイデルベルク

連日の向かい風も収まり、さらに３号線を北上、Heidelberg(ハイデルベルク)の街を目指します。

ハイデルベルクはドイツ国内では珍しく大戦中に連合国の空爆を受けておらず、中世の街並みがそのまま残っています。

13世紀に建てられたハイデルベルク城は少しずつ拡張されたものの、宗教戦争(三十年戦争)やルイ14世時代のフランス軍により破壊されてしまいました。その後は手つかずのまま荒れ果て、禁止されるまで城の構築物は建築資材の供給元となっていました。

私の携行していたガイドブックには、ハイデルベルクは、留学中の皇太子とカフェで働く町娘との切ない青春ラブストーリー、戯曲「アルト・ハイデルベルク」の舞台となった街として有名だとあります。

感心するのは、そのハイデルベルクの街を観光地〈廃城と中世のたたずまいを残す学生の街〉としてアピールしたことです。

街には多くの観光客が溢れていました。もちろん、日本人のバスツアーの団体さんもいます。おそらくハイデルベルクの北に位置する大都市 Frankfurt(フランクフルト)からのツアーでしょう。

私もこの街で西ドイツで始めての観光をすることにしました。中央駅近くのツーリストインフォメーションで地図をピックアップ、市内を歩いてみます(日本語版「ロマンの街ハイデルベルク」という有料のガイドブックもありました)。

ハイデルベルクの街を東から西へ流れているのがネッカー川です。観光スポットはそのネッカー川の南、駅の東に位置するアルト・シュタットと呼ばれる旧市街に集中しています。

まずはその旧市街の先、ネッカー川畔のキャンプ場へチェックイン。その後、再びバッグを外したカラの自転車で旧市街へ戻ることにしました。

ハイデルベルク城は旧市街を見渡せる小高い丘の上に建っています。［よしッ、とりあえず城に上って街を眺めてみるか］有料のケーブルカーもありますが、自転車を押しながら標高差80ｍの急な坂道を上ることにしました。

テラスから撮ったハイデルベルク城です。

こちらは眼下に広がるハイデルベルクの街です。何となくサウンド・オブ・ミュージックの舞台となったオーストリアのザルツブルクに似ている印象です。

写真中央の建物は街のシンボルの聖霊教会。右端に見えるのが古い橋アルテ・ブリュッケと呼ばれるカール・テオドール橋、多くの観光客が訪れていました。

この橋は1248年に造られたのですが、連合国に追い詰められたドイツ軍が撤退時に破壊してしまいました。現在の橋は大戦後の1947年に新たに造られたものです。

対岸の緑の森は標高445ｍのハイリゲンベルクの丘です。ゲーテなどが思いをめぐらせて歩いたといわれる Philosophenweg (哲学者の道)が丘の中ほどまで延びています。

［ふ～ん。哲学者の道ね。観光目的のネーミングみたいな気がするけどな］私はそう思いながらも橋を渡って対岸の「哲学者の道」へいってみることにしました。思いのほか急な道は、途中に階段もあり、自転車の押上げをあきらめて戻ることにしました。私のほかに観光客はおろか人通りすらありませんでした。

旧市街へ戻る途中に撮った写真です。ボート乗り場の向こうに停泊しているのは遊覧船兼船上ビアホール、ビールにソーセージとポテトが付いて約750円とありました。
ちなみに、この日のキャンプ場の料金は、高いバーデン＝バーデンと違って、さすが学生の街(?)と思わせる約600円でした。