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ぐるっとヨーロッパ: West Germany(18) 弁当を忘れたブルックヘッド

ウィークデーということもあり、ブルックヘッドの家にやっかいになったのは2日間だけでした。

食事は、スイスのバーベキューやチーズフォンデュのような特別なものではなく、想像したとおりの黒パンにソーセージ、ジャガイモとごく普通でした。かえってそれが居心地をよくしてくれました。テーブルにビールさえあれば、私には十分でした。

たった2日間でしたが、食事を含め、ごく一般的な家族の日常を垣間見れた気がします。

出発の朝。昨夜遅くまで話していたこともあり、ブルックヘッドも私も少々寝坊をしてしまいました。朝食をとりながら、登校する妹さんを見送り、私たちは急いで身支度を終えると、玄関先で待つオヤジさんのもとへ向かいました。

「パパさん、お世話になりました。楽しかったです」
「そうか、よかった。道中気を付けて」
「はい」
「ノブ、今年中に日本に帰るんだろ。クリスマスカードを送るよ」
「うん。俺はニューイヤーカードを送るから」

ブルックヘッドはオートバイで隣町の銀行へ通勤していました。

「オーケー。じゃ、急いでるから、先に行くよ」

そう言うと、時間が気になるのか、「ブル、ブルンッ、ブルーン」と排気音を残して一足先に仕事に向かいました。その時です。

「パパーッ!! ………」
「………」

あわてたようすのオカアさんが、大声でオヤジさんを呼びながら、家から出てきました。手には見覚えのある包み、中身は弁当箱です。どうやら、ブルックヘッドが昼の弁当を忘れたようです。

結局、車で出勤するオヤジさんが弁当を助手席にブルックヘッドを追いかけることになりました。出発の朝の忘れられない出来事です。

ブルックヘッドは約束通りクリスマスカードを送ってくれました。他にもガールフレンドができたとか、今度カナダに旅行に行くとか、便りが届きました。その後、久々に彼から届いた便りは驚きの内容でした。

「今年の9月1日から Bible School に5年間通って missionary になるんだ」とあったのです。[バイブル・スクールって聖書の学校か? 何だかよくわかんないな]それでもミィッショナリーとありますから、どうやら宣教師になるつもりのようです。

彼は私に「銀行の仕事はつまらない。将来、農業をしたい」と言っていました。それがまさか宣教師とは、どういう心境の変化でしょうか。パイプオルガン奏者でもあり、宗教関係で働くオヤジさんの影響かもしれません。

DSC_0357写真は自宅前のブルックヘッドです。大柄で190センチ近くあります。落ち着いた感じに見えますが、弁当を忘れる少々オッチョコチョイな18才です。

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