ボンまであと10数キロ、川沿いの道から別れて56号線へ、昼過ぎにはボンに到着しました。ライン川に架かる橋で、南へ行くドイツ人サイクリストとはお別れです。
私は一人で橋を渡って街の中心へ。まずは観光案内所で地図をピックアップ、街を散策してみることにしました。
ボンは西ドイツのほぼ中央に位置しています。大学もあり、古くからの文教都市ですが、人口30万人にも満たない、首都にしては小さな街です。そんなボンが西ドイツの首都になったのには理由があります。
第二次世界大戦以前のドイツの首都はベルリンでした。東西に別れて以降も東ドイツの首都です。ところが、ソ連と東ドイツは、西ベルリンはあくまで戦勝国の米英仏三国の占領地という位置付けを譲らなかったのです。
いずれにせよ、西ドイツは東ドイツ内の飛び地であるベルリンを首都にはできなかったのです。
東ドイツのベルリンに対し、フランクフルトのような大都会を首都にという声もありました。西ドイツ政府は東西ドイツの再統一がそれほど遠くない将来に実現できると考え、あえて小さな街ボンを選択したのです。
大きな街に今以上の機能を持たせてしまうと、いざ移転となった時に不都合が生じやすいと判断したのです。小さな街の方が首都移転が早まると思ったのです。
ところが、ドイツ統一までに40年という歳月が流れてしまいました。ベルリンに首都が移転した後も一部の政府機関はボンで機能しています。私が訪れた当時のボンは、小さな旧市街を中心に近代的な街並みが印象的でした。