ケルンの街の中心まであと10キロ足らず、偶然ライン川に面したキャンプ場を発見。[街まで行って探すならここでいいや]利用料約650円を支払い宿泊地が決定です。
いつものようにビールを飲みながらの夕食。目の前をいろんな船が行き交っています。
この日の日記には「明日は土曜日、地図と食料を忘れないように。午前中に手に入れよう‼」と書かれています。おそらくフランクフルトで過ごした日曜日にほとんどのお店が閉まっていてコリたのでしょう。
このところ天気にも恵まれ、この日も朝から上天気というか暑いくらいで、川面を吹き抜ける風を気持ちよく感じていました。ライン川もここまで北上すると、貨物船やコンテナ船が目につきます。
進むにつれ段々と二つの尖塔が大きく見えてきます。[あれがドームか、確かに大きいな。おッ、桟橋だ]川岸から数本の桟橋がのびているのがわかります。遊覧船乗り場のようです。休憩を兼ねて川岸まで降りることに。
「ハロー、自転車旅行ですか?」
横から声がかかりました。ポロシャツに短パンの小柄なオジさんです。60才は過ぎているでしょうか。
「えッ。あー、はい」
「どちらの国の方ですか?」
フロントバックに縫い付けた日の丸を指差しながら、
「日本人です」
「オー、日本人。で、どちらから?」
「スイスから西ドイツへ入りました」
「じゃあ、ライン川沿い走って来たんですね。途中、マインツからいくつもお城を見たでしょう」
「いや、スイスで出会った家族に家に寄るように言われ、フランクフルトから西へ走ったので。もう一度ライン川沿いを走ったのはボンからです」
前にも書きましたが、フランクフルト近くのマインツからケルンまで、観光船によるライン下りが有名です。ローレライの他にも川沿いの小高い丘や岩場に建ついくつものお城がライン下りの目玉になっています。私はちょうどその区間だけライン川沿いを走って来なかったのです。
「それは残念でしたね。ここがその観光船乗り場です」
「ライン下りですか?」
「はい。近場を航行する1時間ほどの遊覧船も出てますが、ほとんどがライン下りの船です。ここからマインツまで13時間ぐらいで行きますよ。高速の水中翼船なら4時間ちょっとです。もちろん下りはもっと速いです」
オジさんはさらに話してくれました。
「ほら、あそこに KD とありますね。KDライン(Rhein)といって船会社の名前です。夏期だけ下流のデュッセルドルフからも観光船が出ています」
確かにオジさんが言うように桟橋には Köln-Düsseldorf の文字が見えます。このオジさんがいろいろと詳しいのには訳がありました。