ドーム周辺を含めて1時間ほど案内してもらいました。
「どうでしたか?」
「いろいろ話が聞けてよかったです。ありがとうございました」
「いえ、私の方こそ楽しかったです。で、この先は?」
「ブレーメン(Bremen)へ向かうつもりです。グリム童話の… えーと、ロバやニワトリのオーケストラ、いやバンドかな?」
「はい、わかりますよ。その童話はブレメール・シュタットムズィカンテンといいます」
「ブレーメンの音楽隊」
と言いたかったのですが、言葉が出ませんでした。
私はクラシック音楽同様、文豪ゲーテなどのいわゆる大作の文学には縁はありません。それでも同じドイツ文学のグリム兄弟の童話なら知っています。
童話「ブレーメンの音楽隊」に憧れの街として出てくるブレーメンを訪ねるつもりでいました。
「それなら、あの橋を渡って行くといいですよ。鉄道橋ですけど歩行者と自転車は問題ありません。途中でさっき話してたルール川を渡ると思います。ハーゲン(Hagen)の街あたりです」
「わかりました。じゃあ、そのハーゲンを目指します。
「それでは、よい旅を」
「はい。ありがとうございました」