昨日の夕方通過した町の標識には、ブレーメンまで141キロとありました。北部ドイツは平坦な道が続き、連日100キロ以上走っていました。周辺も農場や牧場が広がり、ルール地方と比べ大きな変化です。
「モオー、モオーッ」
やたらホルスタインが目につくようになってきました。ホルスタイン種はオランダ・北部ドイツが原産です。ここはご当地、あたり前のことでしょう。
[うん? ゾーリンゲン? いや、まさかこの町は違うだろ]周囲が畑で囲まれているのに、標識には SULINGEN と書いてあり、ゾーリンゲンかと思ったのです。気になって、通りがかりのオジさんに聞いてみました。
「ヒヤ・イスト・ゾーリンゲン?」
「ナイン… ズーリンゲン… ゾーリンゲン… デュッセルドルフ…」
「ここはズーリンゲンだ、ゾーリンゲンはデュッセルドルフの近くだ」そんなふうに言っているように聞こえました。
夕方、強風とともに急に雨が降りだしました。しばらく天気が続いていましたから、久しぶりに雨に打たれた気がします。田園風景が広がるなか、畑の真ん中にある森に逃げ込みキャンプとなりました。
晩飯の支度の前に前日まで使っていた地図を引っ張り出して確認してみました。デュッセルドルフの近郊に SOLINGEN とあります。 日本でも有名な「刃物の街」ゾーリンゲンです。ゾーリンゲンは SO、ズーリンゲンは SU、O と U の一字違いでした。
急な雨が上がると小鳥のさえずり、ウサギの跳ねる音(たぶん)が聞こえてきました。遠くで相変わらずホルスタインの鳴き声がしています。