「どうだった? 教えてよ」
「あんなもんだろな、ほかと変わらないよ。こいつの相手はいい娘だったみたいだ。なぁ、そうだろ?」
「まあな。交渉次第だよ」
「ここのエロスセンターって、どんな感じなの」
「中に入るとちょっとした広場があるんだ。回りがソレ用の部屋なんだけど、部屋の前に塀みたいのがあって、そこに女の娘が立ってるんだ」
「うん。それで」
「気に入った娘がいれば、話しかければいいんだよ。ドイツ語のほかに英語も話す娘も多いから心配ないよ。お前の英語でちょうどいいかもな」
「心配ないよ。ウロチョロしてたら、向こうから話しかけてくるから」
「そうなんだ。で、いくらぐらい女の娘に払えばいい? それが聞きたいんだ」
「50DM(約5,000円)だな。そんなもんだよ。俺は50DMで本番してくれるか聞いたよ」
「なるほどね。何してくれるか聞くんだ、逆に」
「部屋の中に入ってから、なんだかんだとアップしてくる娘がいるから、最初にちゃんと決めとくんだ」
「うん。これ以上は払えないんだって言うよ」
「アッハッハー、それもいいかもな。とにかくぼったくられないようにな」
「ありがとう。わかったよ」
50DMはフランクフルトに比べて少々高い気がしました。ただ、露店商の連中の話も時が経っていますし、ハンブルクは世界中の船乗りが集まる港町、50DMは高くないのかもしれません。
朝食を食べながら色々と二人から話を聞いわけですが、彼らは別の街でも色々と経験済み、他にもオモシロイ話が聞けました。
二人は仕事仲間、夏休みを利用してモーターバイクで旅行中ということでした。「この先はオランダを回る予定だ」と言ってましたから、ひょっとするとアムステルダムでは「飾り窓」を覗くかもしれません。
ハンブルクはエルベ川沿いの北側に広がるヨーロッパを代表する港町、東西ベルリンに次ぐ大きな街です。エルベ川が流れ出る北海までは100キロほどありますが、川を渡る時に目にしたエルベ川は川幅が広く、入り江のように思えました。
[川なのに海みたいだな。テージョ川沿いのリスボンに似てるな]橋を渡りながらそんなことを思っていました。リスボンの港は外洋の大西洋まで20キロほどですから、港町としてのスケールはハンブルクのほうが上でしょう。
ハンブルクのユースホステルは旧市街と歓楽街レーパーバーンのちょうど間にあります。どちらへも歩いて行け、ロケーション的にはベストです。