北欧とはデンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドそれにアイスランドの5ヵ国を指します。特徴的な横十字の国旗で知られています。さらに北欧三国と限定すると、デンマーク、スウェーデン、ノルウェーのいわゆるバイキングの国々です。
8世紀になると、バイキングはフィヨルドの航行で発達した船舶や海運技術を生かしてヨーロッパ各地や北アフリカなどへ進出し始めました。映画でよく見る、あのバイキング船を操って世界各地に出ていったわけです。
やがて、アイスランド、フェロー諸島、グリーンランドへと航路を広げていきました。アイスランド人による北米到達は西暦1000年ごろといわれ、コロンブスの北米大陸発見より500年ぐらい前になります。かなり前に現在のカナダ東北部に到達していたのです。
彼らの航海はもともと交易や植民を目的としていたのですが、徐々に侵略や略奪など海賊としてのイメージが広がっていきました。それでも北欧の人々には勇猛果敢なバイキングの末裔としての自負があるようです。
フェロー諸島とグリーンランドが今でもデンマークの自治領なのは、デンマークが王位権を持っていた同君連合時代の名残りでしょう。
ヨーロッパの国々は互いに侵略の歴史をかかえています。もちろん北欧も同じです。スウェーデンはバルト帝国といわれるほど強国となり、フィンランドも巻き込んで、中世から近世にかけてスカンジナビアではゴチャゴチャと争い事が絶えませんでした。スウェーデンとデンマークは幾度となく戦っていますから、ヘルシンオアとヘルシンボリは海峡を挟んで互いに大砲を向け合ったかもしれません。
もっともそれに懲りたのか、第一次大戦時にはデンマーク、スウェーデン、ノルウェーの三国は中立を貫きました。第二次大戦でも中立国を宣言していましたが、ドイツなどの圧力もあり、デンマークとノルウェーは連合国側の立場を取らざる得なくなりました。結局、終戦まで中立を貫き通すことができたのはスウェーデンだけでした。
現在、EU、NATO、ユーロに対する考え方はそれぞれの国で異なりますが、スカンジナビア全体としての中立志向は今でも続いています。過去にはいろいろとありましたが、今では北欧三国は同じ方向性を持っているようです。
有名なスカンジナビア航空ですが、大戦前は国ごとに三つ別々だった航空会社が大戦後一つになった三国共同のいわゆるナショナル・フラッグです。この辺りも同じ方向性の表れのような気がします。