両替を終えると、さっそく近くのお店で500ミリリットルのビールを1本購入。[150円か、どうだろう? 西ドイツの100円は安すぎるからなぁ。こんなもんだろう]
これにはカラクリ(?)がありました。この時私が買ったビールはいわゆる低アルコール(3%ほど)のビールで一般の食料品店やスーバーで購入できるものでした。
後で知ったのですが、普通のアルコール度数のビールは酒屋でしか手に入らないのです。しかも驚くことにスウェーデンの酒屋は国営でした。カナダのリカーショップは腰に拳銃を携えたガードマンが入り口に立っていましたが、スウェーデンの酒屋は国営といってもそういう物々しさは全然ありません。
フェリーで会った若者が教えてくれた「酒税が高いからね」はその通りでした。ワイン、ウイスキー、スピリッツとアルコール度数が上がれば上がるほど割高になっていくのです。残念ですが、20ドルしか両替しなかった私はスウェーデンでは低アルコールのビールで我慢するしかありませんでした。
鹿の角(つの)のジョッキになみなみと注がれたお酒を一気に飲みほす、映画の中のバイキングはお酒が強そうです。高い酒税をかけることで暴飲のリスクを減らす意味もありそうです。でも実際にはどうなんでしょうか「しょせん酒飲みは酒飲み」そんな気がしますけど。
スウェーデンといえば私たちの世代には避けられない話があります。当時、私は大学受験に失敗し怠惰な浪人生活を送っていました。そんな私が悔い改めるべく(?)、バイトをしながら専門学校に通い始めた頃のことです。
スウェーデンから「フリーセックス」という言葉が飛び込んできました。その頃の私(多くの日本男子も)の頭の中は「セックス=性行為」です。あらぬ妄想が膨らんだのです。
「スウェーデンじゃ、俺たちぐらいの若い娘がヤリまくってるらしいぜ」
「俺たちぐらいって、学生もか」
「だろうな。普通の娘らしいぜ」
「ヘェー、誰とでもか?」
「たぶんな。ピル飲むんだって」
「おうおうッ、ピルな」
「いいなぁ、スウェーデン行ってみてえなぁ」
「俺も行きてーッ!!」
学校やバイト先の仲間とこんなバカ話でワイワイ盛り上がっていたのです。話の元ネタといえば週刊誌や先輩たちのもっともらしい話ですから、いい加減なもんです。だからこそどんどん膨らむ妄想でした。そんなアホ男子の会話とはいえスウェーデンの人が聞いたら怒り出しそうです。