スペインや北アフリカで小物を盗まれたことはありましたが、毎日のように買い物をしている私にとって釣り銭のトラブルはあとにも先にもスウェーデンでのこの一度だけでした。だからこそ、よく覚えているのだと思います。
買い物の際の支払いは、お釣りのやり取りも含めて日本にいた頃のまま、ごく普通にしていました。ただ、違うのは相手の対応というか処理の仕方です。
例えば日本では95円の商品を買った場合、財布の中に小銭があれば、100円に5円足して10円のお釣りをもらう。98円の買い物なら3円足して5円のお釣りをもらう。小銭の整理も兼ねて、いつもやってることです。これはお客もレジ側も当然のこととして認識しています。ところが、海外ではちょっと違うのです。
多くはこちらの意図を理解してお釣りを返してくれます。ところが、先ほどの例ならこちらで出した5円や3円を受け取らず、あえて戻してから、もともとのお釣りである5円や2円を返してくる場合があるのです。
どうなんでしょうか、財布の中の小銭をなるべく少なくしたいという思いは日本人に限ったことではないと思うのですが。時に紙に書いて計算したりと、瞬時の計算が苦手な人が意外と多いようです。
午後からはE6号線に戻ってノルウェーをめざすことに、鉄道も並行してオスロへと向かって走っています。こよいはE6号線から離れて、その先を行った海辺で野宿となりました。
改めてスウェーデンで撮った写真を見ると、この白鳥の写真を含めて5枚のみ。よくよく考えてみたら、スウェーデンではどこも観光していなかったのです。
イェーテボリはストックホルムに次ぐスウェーデン第2の都市です。大航海時代にはスウェーデン王国の拠点として多くの船がこの港から出航しています。また、スウェーデンが誇る自動車メーカーVOLVO(ボルボ)の本拠地でもあります。ボルボといえば丈夫な車として知られています。なんでもヘラ鹿との衝突も想定されて作られているそうです。
私はカナディアンロッキーで鹿や岩山羊の他にヘラ鹿も見ましたが、その大きさにはビックリしました。何でも雄の成体の体重が700キロ以上にもなると聞きました。ヘラ鹿は体高があるので車にぶつかると体ごと運転席に飛び込んでくるそうです。実際にスウェーデンではヘラ鹿との事故が多く、衝突時に人体に影響のないように車が設計されているのです。
今になって思うと、歴史ある街イェーテボリにはいろいろと見所があったはずです。にもかかわらず、私が寄ったのは銀行だけ、他にどこにも寄らなかったのは何となく先を急いでいたのかも知れません。この自転車旅で唯一どこも観光しなかった国がスウェーデンだったのです。
この写真はスウェーデンの森で野宿したときのものです。わざわざ撮ったのは前日、晩飯の仕度の最中に鹿と遭遇した記念に(?)と思ったからです。青いグラントシートや寝袋の下に敷くオレンジのマットが出しっぱなしですから寝起きで撮ったようです。何となく鹿が出そうな雰囲気があります(?)。
スウェーデン最終日、この日は午後から久々に青空が広がる中で走行しました。ノルウェーとの国境まであと50キロほど、この分なら明日も天気は大丈夫そうです。