「こんにちは、どうでしょうか。手紙届いてますか?」
「いいえ、その後は届いていません」
「そうですか。それじゃ、また出直しですね。実は……」
ヴィーゲラン彫刻公園の帰りに4日ぶりに日本大使館へ寄ってみたものの友人とW君からの手紙はまだ届いていませんでした。この時、私はどのような経緯で手紙を待っているのか職員に詳しく話すことにしました。
「一通り回って、もうオスロ観光はいいかなって感じです。明日からどこか行くつもりです」
「どこかって、自転車でですか?」
「はい。1週間したらまた来ますんで、宜しくお願いします」
[もし手紙がまだなら、時間潰しにオスロ近郊を走ってみよう。じっと待ってるよりいいし、お金もその方がかからないはずだ]そう思っていたのです。この日、オスロ観光の最後にホルメンコーレンのジャンプ台(Holmenkollbakken)に行くことにしました。
ジャンプ台は私が寝蔵にしているキャンプ場の近くということもあり、オスロ市内への行き帰りに遠目に見てはいましたが、まだ行ってなかったのです。近いのでいつでも行けると思っていました。
当たり前ですが、ジャンプ台は小高い丘の上にあります。オーストリアのインスブルックのオリンピック・ジャンプ台のときと同様、きつい坂道を途中から自転車を押し上げることになりました。
ジャンプ台の近くには「スキー博物館」もあり多くの観光客が訪れていました。このジャンプ台は前年1982年の世界選手権の開催のために全面改修されており、オリンピック当時のものより新しくなっていました。
この写真でランディングバーンの下に池があるのがわかります。二千年代に入ると再びジャンプ台は全面改修され、池の回りを囲むスタンドができました。今では夏になるとステージが設置され、コンサートやイベントが開催されるようになっています。