ユトランド半島をさらに南下、この日はエルベ川を渡るつもりです。どうやら心配したバーストの応急措置も走行に支障がないようです。
エルベ川河口の港町 Brunsbüttel(ブルンスビュッテル)のフェリー乗り場を目指します。ブルンスビュッテルはユトランド半島を横断するキール運河の西端、デンマークを目指してキール郊外で東端も渡っていますから運河の両サイドを走ったことになります。
昼過ぎにブルンスビュッテルに到着。道路脇の標識に従いフェリー乗り場へ向かうと[あれッ。何、工事中なの?]何と岸壁というか船着き場が工事中でフェリーは運航していません。
地図を見ると30キロほど上流の Glückstadt(グリュックシュタット)の街にもエルベ川を渡るフェリーのシンボルマークがあります。そこでフェリー乗り場の工事を見守るスタッフの男性に地図を示しながら確認してみました。
「すいません。え~と、グル… グリュークシュタット? フェリーボート、ノープロブレム?」
「ヤー。グリュックシュタットならフェリーで渡れるよ。でも、ここまで行けば橋があるよ」
「ここまで」といって男性が指差したのは、さらに50キロほど上流のハンブルクでした。[いや、ハンブルクにはその橋を渡ってもう行ってるし。よし、グリュックシュタットだ]
グリュックシュタットに着く頃には小雨が降り始めました。まだ、フェリー便のある時間ですが、この日は町のユースホステルに泊まることにしました。
翌朝、曇り空に加えて風もありますが、どうやら雨の心配はなさそうです。
川を渡るフェリーは外洋を航行するフェリーと比べると小型で、渡し船といった感じです。デトロイトからカナダへ、ポルトガルのサント・アントニオからスペイン側へと川を渡った時もこんな感じの小型のフェリーでした。違うのは国境越えではないので税関のチェックがないことです。乗船料金(自転車とも)=2.5DM(約250円)。
フェリー上からの眼前には広大な牛の放牧場が広がり、茅葺き屋根の民家が点々としています。エルベ川のこの辺りの川幅は3キロ弱、対岸の船着き場はやや下流に位置していますから約4キロほどの船旅になります。
この写真はハイデの街の茅葺き屋根のユースホステルです。旗は西ドイツのユースホステルのロゴマークです。
これはグリュックシュタットの街のユースホステルのスタンプです。どちらも茅葺き屋根の民家を利用したユースホステルです。西ドイツでも茅葺き屋根の民家は特別なようです。
茅葺き屋根というと日本独特のような気がしますが、私が海外で初めて目にしたのはイギリスの田舎町でした。その後、目にすることはありませんでしたがデンマーク、西ドイツそしてこの先のオランダと再び目にするようになっていました。
茅葺き屋根は茅の供給も含め維持が大変だと聞きます。それでもいまだに存在するのはその地域の特性に合った家造りとしての利点が多いのでしょう。