この日は9月の最終日曜日の25日、ヨーロッパの標準的な夏時間が終了します。ということで時計を1時間戻して一日が25時間になります。
ユースホステルの朝食も昨日までの朝8時から7時になりますが、実際の朝食の時間は前日までと変わらないということです。
そのつもりで7時に食堂に行くと、すでにグループで朝食をとっている連中がいます。[やっぱ、皆わかってるんだ]彼らに紛れ込んで私も朝食を済ませました。
ヨーロッパの夏時間の歴史は古く、第一次世界大戦まで遡ります。当時のドイツとイギリスが節電や資源不足などを補うために始めたのです。一時期、実施されていませんでしたが1970~80年代のオイルショック時に復活して今に至っています。
前年の1982年、私がニューヨークからロンドンに渡った10月24日(日)は、イギリスの夏時間の終了日でした。通常ニューヨークからロンドンに到着すると時差により時計を5時間進めるのですが、1時間少ない4時間だけ腕時計を進めていました。ですから今回は私にとって2度目のサマータイムの終了ということになります。
もともと中央ヨーロッパの夏時間は9月の最終日曜日まででした。それが徐々に伸びて10月の最終日曜日までになったのです。始まりが3月の最終日曜日ですから期間が半年以上、ちょっと長過ぎる気がします。
「何を今さら」と思うのですが、政府が2020年の東京オリンピック、パラリンピックに合わせて「サマータイムの導入」を検討しているそうです。
選手のコンディションを考えれば日本特有の蒸し暑い夏を避け、秋に開催すればいいのですが、そうもいかない理由があります。
それは夏が終わるとヨーロッパではサッカーが、アメリカでは秋になるとアメリカン・フットボールがシーズーンインします。加えてメジャーリーグもポストシーズンへと佳境に入るからです。つまりはテレビの視聴率がらみの莫大な放送権料の話なのです。
1964年の東京オリンピックの時にも7~8月開催案がありました。しかし当時は同時放送といえばラジオぐらい、テレビの放送権料のことは問題になりませんでした。ですから選手のコンディションを第一にと10月に開催されたのです。
日本でもオイルショックや東日本大震災後にもサマータイム導入の声が上がりましたがいつのまにか消滅しています。
そもそもサマータイムは日本の気候風土や国民性に合わないような気がします。事実、戦後すぐに GHQ のもとで導入されましたが、不評で4年足らずで終了しています。
本家 EU でもフィンランドなど一部の国からの健康上のリスクの訴えを受け、欧州委員会による夏時間の是非の検討が決定していました。
この夏、加盟28ヶ国、回答460万件というアンケート調査で84%の人々がサマータイムの廃止を望んでいるという結果がでました。それを受け欧州委員会は EU へ廃止の提案をしました。
先ごろ政府の意向を受けてか、自民党がサマータイム導入に関する研究会を立ち上げ、明日27日に一回目の意見交換会を開くことが決まっています。本来なら議員連盟の立ち上げとなるのですが、今回は一歩引いた研究会という形になっています。どうやら世界の流れや国内世論を気にしているようです。
オリンピックに合わせてのサマータイム導入ならば、競技時間を繰り上げるなり下げるなりして対処すればすむ問題のような気がします。