ル・アーブルの街の中心部は直線的に道が交差し整備された街並みに思えました。何より大きな街で修理してくれるお店もすぐに見つかりそうです。
まず最初はガレージ(自動車整備工場)へ。フランス語の「修理」がわかりません。とりあえず英語でお願いしてみます。
「パルドン。リペアー、シルブプレ?」
「レパレ? ノン」
剥がれた溶接部を示しながら聞いてみましたがダメでした。ただ、フランス語で修理が何となく「レパレ」ということがわかりました。[よし、今度はレパレで聞いてみよう]次に見つけたガレージもダメです。3軒目の自転車屋でもいい返事がもらえません。
探し始めてソコソコ時間が経過したころでした。[おッ、溶接してるじゃん。ここならイケるでしょ]通りに面した小さな鉄工所を見つけました。作業中の職人の手が空くのを待って声をかけてみました。
作業用の防護面を外すと職人は意外にも若いアンちゃんでした。私の「オーケー?」に剥がれた溶接部を一目見て「オーケー」の返事。4軒目でやっと修理してもらえそうです。
キャリアを外してものの5分、溶接作業は手慣れたものでした。
「コンビアン(いくら)?」
「サンク」
「サンク? ファイブ?」
「ウイ」
5フランは約150円、安いので聞き直したくらいです。私は5フラン硬貨に加えて、お礼の気持ちとしてコーラ1本と日本から持参した5円玉を一緒に彼に手渡しました。
上の写真がその時の修理箇所です。ボルトを外して撮ってみました。度重なる溶接でパイプまで火が入り変色しています。その後不具合はありませんから、アンちゃんは腕のいい溶接工のようです。
下の写真は反対側です。こちらはイギリス走行中に破損し、フレーム工房のダン青年に無料で溶接し直してもらいました。
今回改めてキャリアの溶接のし直し回数を日記のメモから数えてみました。結果は左右合わせて4回、私の記憶より多いことがわかりました。
ル・アーブルの中心からセーヌ川に架かる橋まで30キロほど遡ることになります。この日のうちにセーヌ川を渡るつもりでしたが、予期せぬ修理に時間をとられて橋の手前で野宿となりました。