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ぐるっとヨーロッパ: France(8) ノルマンディーの海

セーヌ川河口周辺からコタンタン半島にかけた北フランス沿岸をノルマンディー地方といいます。地名の由来は9世紀から10世紀にかけてスカンジナビア半島やデンマークからこの地にやって来たノルマン人によります。

彼らの移動はゲルマン民族大移動に次ぐ第二の大移動といわれ、東ヨーロッパの奥深く、また遠く北アフリカまでにも及びました。そして北フランスに到着した彼らの一部は地域の言葉を話すことに努め、この地に根を下ろしていきました。

8月下旬、テレビのニュースでセーヌ湾近海の20キロほど沖合いでフランスの漁船がイギリスの漁船に体当たりしたと報道していました。それがちょうどこの海岸の沖合いになります。

フランス漁船の実力行使はイギリスの漁船によるホタテ漁を阻止するための行為でした。ノルマンディー地方のホタテは特産品として知られています。ところがイギリスのホタテ漁は通年、一方フランスは資源保全のため10月解禁の翌年5月までと漁期が異なります。毎年両国間で取り決められる協定がまだ決着していない最中の出来事でした。

ニュースでフランスの漁師は「我々が漁に出る頃には大きなホタテはあらかたイギリスの漁船に持っていかれてる。死活問題だ」と訴えていました。両国の漁業関係者や担当閣僚も互いに主張を譲りません。ただし、今後も話し合いが必要であるとの意見で一致していました。

フランス側のコメントに面白いものありました。「だいたいイギリスじゃホタテ料理ったってフライにして食べるぐらいだろ。だからもったいないのさ」何となくイギリスの料理のレパートリーのなさを皮肉って聞こえます。確かにフランス料理の方がソテーにカルパッチョなど、色々とバラエティーに富んでいます。

もちろん料理なら日本も負けていません。ホタテの貝柱の刺身はもちろん、ヒモも色々な食べ方をしますし、あの三日月の形をした生殖器も美味しく食べます。つまり、貝毒のあるワタの部分を除いてほぼ全て食べます。

イギリスの漁船はイギリス南岸から来たものと考えられます。彼らのルーツもノルマン人かもしれません。彼らより先、ユトランド半島のアンゲルン地方からイギリスに渡ったアングロ人と彼らも共存していったのです。たとえルーツが同じでも、長い年月を経て言葉を始め食文化や立場までも変わるようです。

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