ぐるっとヨーロッパ: France(19) 豪華絢爛「ベルサイユ宮殿」

パリの南西約20キロの郊外にある「ベルサイユ宮殿」に到着しました。パリへの途中に位置しているので、寄らない手はありません。

ベルサイユ宮殿の正面入口です。自転車を入口横に置いて場内へ、ソコソコ人がいます。

［おッ、ラッキー。今日は無料だよ］運がいいことに、入場無料(見学料11Fr. 約350円)の水曜日でした。

左端の人たちはガイド付きツアーの団体さんです。

もともとこの城はルイ13世の狩猟時の別館でした。ここが気に入ったルイ14世は、パリのルーブル宮殿からこちらのベルサイユに政治の中心を移すとともに立派というか派手というか、自分の気に入るように改築していったのです。

宮殿から庭園へと続く中庭に出ます。

中庭を進むと、この「ラトナの噴水」に出ます。ラトナはギリシャ神話アポロンの母親です。この先に「アポロンの噴水」があり、さらにその先に運河が続いています。後述しますがトリアノン宮殿は、その運河の右手奥になります。

これが「アポロンの噴水」です。ラトナもアポロンもルイ14世にとっては大事な守護神だったようです。運河の両サイドにだだっぴろい庭園が広がっています。どちらの噴水もなぜか水が出ていませんでした。決められた時間があるのか、それとも入場無料の日だからでしょうか。

宮殿内は絶対王政をあらわすかのごとく豪華絢爛、贅の極み［何だこれッ、すげーッ!!］驚きです。屋外の噴水の水はわざわざ水道橋まで造って10キロ離れたセーヌ川から引いてきたのです。もっともそんな浪費が庶民の反感をかい、後のフランス革命そしてルイ16世とマリー・アントワネットの処刑へと繋がっていくのですが。

このベルサイユ宮殿に競うかのように建てられたのがオーストリアのウィーンにあるハプスブルグ家のシェーンブルン宮殿です。私はハンガリーで出会ったオーストリア人のフランツ爺さんに案内されてシェーンブルン宮殿にも行ってます。派手さや広さではかないませんが、居心地のよさではシェーンブルンだと思います。それが証拠にシェーンブルン宮殿は賃貸マンションとして市民に貸し出されています。

ベルサイユ宮殿の広さは約800ha(ヘクタール)と説明があります。私の住んでる東京の広さで比較すると、台東区と中央区が約1,000ha、米軍の横田基地が約700haです。ベルサイユ宮殿がいかに大きいかがわかると思います。

横田基地といえば最近オスプレイの配備や羽田空港の新飛行ルートと米軍管制域との領域接触問題など、何かと話題になっています。「自国の空を自由に飛べない」東京にもまだ終わらない戦後があります。

これはベルサイユ宮殿の絵ハガキです。中央がルイ14世です。モン・サン・ミッシェルと同時期の1979年に「ベルサイユ宮殿と庭園」として世界遺産に指定されています。

ベルサイユ宮殿に関するタイムリーな話(？)を一つ。今週月曜日に日産のカルロス・ゴーン氏が逮捕されました。過少申告、私的流用、不正支出とカリスマ経営者らしからぬ嫌疑です。ゴーン氏は日産、三菱自動車、ルノーの会長を兼務していましたが、昨日の日産の臨時役員会で会長職の解任が決まりました。ご存じのように内部通報、司法取引から始まり、今ではフランス政府が筆頭株主であるルノーによる日産の完全合併小会社化に対する日産側のクーデターかとも報道されています。ただしハッキリするのはこれから、今後の捜査や成り行きが注目されます。

そんな中、テレビのワイドショーでゴーン氏の再婚のパーティ会場について言及していました。なんとベルサイユ宮殿内のトリアノン宮殿で催されたそうです。ベルサイユ宮殿の大広間の賃料が900万円、トリアノン宮殿は一般のパーティのために使用されたことがないとのことです。そもそもトリアノンはフランス首相官邸の一つで、海外からの賓客を招くためにあります。
パーティ費用にいったいいくらかかったのか？　そしてその経費が日産から支出されたのか？　ワイドショーの話の中心はソコでした。私はゴーン氏の再婚に興味はありませんが［えッ、ベルサイユ宮殿で結婚披露パーティなんかできんのかよ。金の力なの、それとも政治力？］こっちが驚きでした。

先ほどの絵ハガキの左下がそのトリアノン宮殿です。トリアノンはルイ14世が愛人と過ごした離宮です。ベルサイユ宮殿から約2.5キロ、広い宮殿内の庭園の一角にあります。