高度を増すごとに朝の霧は嘘のように晴れ上がってきました。
これは森林遊楽区の入り口です。ご覧のように上天気です。入り口からしばらく行くと整備された遊歩道に出ます。
遊歩道の巨木群をさらに奥へと進むと「姐妹潭」と呼ばれる大小ふたつの湖に出ます。こちらは大きい方の姐潭です。この山に住む姉妹が同じ男性を好きになり、互いを思いやるがために二人とも湖のほとりで自ら命を絶ったという言い伝えがあります。
「五奇」の一つ樹齢3000年の台湾檜の「神木」です。その下に森林鉄道のレールが見えています。この神木は1998年、前年の落雷のダメージが大きいため切り倒されてしまいました。おそらく鉄道の事故防止もあったのでしょう。2007年になって多くの老木の中から二代目の神木「香林神木」が選ばれています。
こちらは「三代木」です。一代目の檜が枯れ、その苔むした倒木から二代目が芽吹き、その二代目も枯れると同じように三代目が生育したそうです。複雑に絡み合っていました。
ここは阿里山の雲海ポイントですが、さすがに日が高くなるとダメです。右の山は標高2,484mの塔山、造山活動がわかる岩層節理が露出していることで有名です。そういえば節理が見えている(?)。
阿里山の「五奇」ですが、「鉄道」は線路のみ、「夕霞」は朝霧に、「雲海」は日が高く望めず、こんな具合で実際に私が見たのは「神木」だけでした。
残る一つ「日の出」は祝山というご来光ポイントがあります。日本統治時代に敷設した森林鉄道は沼平駅までですが、後にその先にご来光を拝むための祝山駅ができて毎朝ご来光の時間に合わせて列車が運行されています。祝山の展望台から台湾の最高峰3,952m「玉山(ユイシャン)」から昇るご来光を拝むのが人気です。
日本統治時代には玉山を富士山より高い山として「新高山」と呼び、周辺環境を整え「阿里山新高山国立公園」としていました。太平洋戦争開戦の暗号「…ニイタカヤマノボレ…」はあまりにも有名です。
私ぐらいの年齢になると缶入りのサクマドロップとならんで円筒状に包まれたニイタカドロップが懐かしく思い出されます。明治時代に砂糖が豊富な台湾で創業された日本の企業、新高製菓のドロップです。今でもサクマドロップは見かけますがニイタカドロップは無くなってしまった(?)ようです。
包装紙を少しずつ剥がしながら丸くて平たい形状のニイタカドロップを口の中に放り込みます。二個、三個いっぺんに放り込むには勇気がいりました。きっと子供心に贅沢に感じていたのでしょう。
1983年だから35年前の写真と紀行文、とても貴重ですね。
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