最後に寄り道: Taiwan(24) 台北観光[2]

私はホテルへと戻る道すがら、これまで衛兵交代をどこで何回見たか思い出していました。ロンドンのバッキンガム宮殿は衛兵は見たものの交代式の時間が合わずダメでした。ちゃんと見学できたのはアテネのシンタグマ広場、コペンハーゲンのアマリエンボー宮殿、そして台北の忠烈祠で計３回ということになります。ロンドンとコペンハーゲンは宮殿の警護、アテネの衛兵は広場にある「無名戦士の碑」の警護ということで台北の忠烈祠と似ています。

アテネは一日数回、数人で行進します。私が見た時はちょっとバラバラの行進でしたが、スカートのような民族衣装が印象的でした。コペンハーゲンは正午に１回、多人数でグループに別れて行進していました。長い帽子がおもちゃの兵隊を彷彿させました。忠烈祠の衛兵交代は人数は少ないものの一時間毎と回数は最多です。

［さっきの兵士は全く動かなかったな。大したもんだよ］一時間のうち20分は交代に要する時間ですが、残りの40分じっとしたままなのです。
［そういえばＣさんが「日本の若い男性は、ナヨナヨしてて男らしくない」って言ってたっけ］私は台湾人のＣさんが話していた「台湾の男性は19才になると軍隊に入って二年近く軍事訓練を受けて、たくましくなって戻ってくるんです」そんな話を思い出していました。どうやら軍事訓練は自他共に認める大人の男性へのステップのようです。

当時の台湾は兵役制度があり、22ヶ月間軍へ入隊する義務がありました。戒厳令解除後は期間が一年と短縮されます。そして2012年、４ヶ月の軍事教練のみとなり、実質兵役制度が廃止されました。

忠烈祠からホテルへ戻る途中で撮った世界的に有名な「圓山大飯店(ユェンシャンダーファンディエン)」です。台湾神社跡にもともと迎賓館として建てられたものです。1995年に12階から出火しましたが３年後に営業を再開しました。

この日最初に向かったのは台北駅の南の中正公園内にある「中正紀念堂(ズョンズュージーネイルタン)」です。中央のアーチの奥に見えるのがが1975年に亡くなった蒋介石を記念して1980年に完成した紀念堂です。

民進党が政権を握ると「民主紀念堂」と改名しました。同時に入り口の「正至中大(読みは大中至正)」を右流れの「自由廣塲」に変えました。2009年に国民党が政権に返り咲くと再び中正紀念堂に戻しました。ただし、入口に掲げられた自由廣塲は今でもそのままにされています。

現在の「中華民国総督府」です。中正紀念堂の北西、より台北駅の近くになります。もともとは1919年、日本統治期に建てられた「台湾総督府」です。米軍の爆撃により内部が焼失しましたが、国民党政権によって内部が改装され、中華民国総督府として現在に至っています。赤いレンガと白い大理石のコントラストが目を引くのですが写真の写りがよくありません。歴代の日本人総督の中には台湾が気に入り、家族に「私が死んだら台湾に墓を建ててくれ」といい残した人もおり、実際に墓があるそうです。

最後に訪ねたのが総督府から南西へ１キロほどの萬華区にある「龍山寺(ロンシャンスー)」です。萬華区は台北でもっとも古い地区で通りには道具屋、薬草局、骨董屋など下町を感じさせる店が並んでいます。お寺へは右の龍門から入り左の虎門から出ると決められており、私が高雄で訪ねた龍虎塔と同じく入り口と出口の縁起をかついでいるようです。