突然ですが入浴って大事ですよね。日本には江戸時代から続く公衆浴場、銭湯(お風呂屋さん)があります。毎日が移動、テント泊の自転車旅ではその銭湯での入浴が中心になります。
一方、海外となるとまず日本のように町なかに公衆浴場なるものがありません。アメリカ、カナダしかり、温泉に入った記憶もありません。ヨーロッパ各地は、古代ローマのローマン風呂が有名ですが、今ではほとんど遺跡や廃墟になっています。温泉が豊富なハンガリーにいわゆるスパや療養目的の入浴施設として存在している程度です。
そんな中、私が利用できたのが北アフリカ、イスラム圏の「ハマム」と呼ばれる公衆浴場だけでした。というわけで体をキレイにするといったらユースホステルや安宿に泊まった時のシャワー、平均すると週に一回程度だったでしょうか。まあ、ほかに川に入る(?!)という手もありましたが……。
もう一つ銭湯のほかに火山大国日本には列島各地に温泉があります。温泉地の共同浴場も外せません。私の優先順位としては銭湯を上回ります。特に記憶にあるのが上諏方と別府です。湯量が豊富なのでしょう、各町内ごとに維持・管理する小さな共同浴場があるのです。当然、利用者は町内の人、面白い話も聞くことができました。私の「風呂代は?」に「要らないよ。勝手に湧いてるんだから」の返事、甘えることにします。もちろん入浴料の掲示があればちゃんと払います。
こんな感じで海外と大きく違い、日本一周の自転車旅では二日に一回は入浴していたと思います。銭湯も温泉も世界に誇れる日本の文化です。内風呂が増えたことで銭湯が減ってしまいました。それでもスパなるリゾート目的の大型入浴施設が増え、賑わっています。どうやら今も昔も日本人の風呂好きは変わらないようです。それにしても明治政府の「風紀上よろしくない」で消えてしまった銭湯の混浴、残念です。
青森、北海道に比べて秋田、山形と銭湯が少ないように感じていました。ならばと地図上の温泉マークを目印に走ります。
山形は2キロほど7号線から外れた温海(あつみ)温泉。三つの共同浴場が全て無料、タダならばとハシゴします。
新潟に入り、新発田(しばた)から7号線を290号線沿いの月岡温泉へ。やっと探した共同浴場、中をのぞくと「兄さん、入んなよ」の声、ナンダカンダで「今夜、俺んとこ泊まれや」。声の主は新発田からご夫婦で来ていた旦那さんです。他に友人のご夫婦も一緒。軽トラの荷台に自転車ともども同乗し、12、3キロ戻る形で新発田へ。
ご主人は中華料理店のオーナー、店舗兼自宅ビルの最上階には驚きのガラス張りの浴室。「俺、風呂好きなんだ」はダテではありません。市内を見渡しながらの入浴、これにはちょっと感動です。結局、翌日が荒天ということもあり連泊となりました。
新潟から8号線、17号線と走り三国峠を越え、猿ヶ京温泉で入湯。運転免許の更新のため一旦東京へ戻ります。