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九州(1)-[4]: 西郷どん、桜島、佐多岬、特攻平和会館

阿蘇山から八代まで下り、鹿児島本線に並走する国道3号線で鹿児島を目指します。
街道沿いには地域の特産物の甘夏みかん、お茶、生姜などの看板やのぼりが目立ちます。途中、八代海(不知火海)に面した日奈久(ひなぐ)温泉でひとっ風呂(入湯料80円)、4日ぶりにサッパリしました。

水俣の街の手前で3号線を外れて水俣川の河口、大崎鼻公園へ。八代海の夕日を見ながらテントを張ります。

水俣といえば、新日本窒素肥料(株)の工場廃水の垂れ流し、水俣湾の魚介類による食物連鎖、有機水銀中毒「水俣病」を思い浮かべます。
1950年代に「水俣病」、富山県神通川の「イタイイタイ病」、60年代に入り「四日市ぜんそく」、新潟県の「第二水俣病」と高度成長の副産物、公害が露呈してきます。
私は子供の頃に実験的に水俣湾の魚を食べさせられて狂死する猫の姿を映像で見た記憶があります。映画の合間のニュース映像だったと思います。小学生の私にとってショッキングなものでした。

廃水による中毒を否定していた工場は、水俣湾への廃水を変更して水俣川へ流します。すると水俣市の北に隣接する津奈木町、南に位置する鹿児島県出水市の住民の間に水俣病に似た症状が見られるようになります。水俣川から流れ出た工場廃水を八代海の海流が拡散させたのです。つまり工場廃水が中毒の原因であると証明したのです。

水俣工場は戦後の農業を担う先端の肥料工場として昭和天皇の行幸があった工場です。
「まさか天皇行幸の工場が毒を垂れ流すなんてないだろう」「行幸が行われた会社が不祥事を起こしてはならない」そんな風潮や思惑がなかったとはいい切れない気がします。

当時の通産省や厚生省の対処に問題ありと政府を相手取り被害者側が訴訟を起こします。当時の会社は社名をチッソ(株)と変え、水俣川の対岸の中心エリアにあります。
政府が工場廃水と発病の因果関係を認めた上で和解に応じたのは1996年、関西地区の訴訟での最終結審は2004年。あまりにも長すぎました。

水俣から3号線を出水、阿久根、川内、串木野と走り、鹿児島まであと30キロほど。ここで3号線から外れて伊集院町へ。公園で遊ぶ子供たち3人とお喋りしながらテントを張ります。

朝メシを終え、そろそろ出発の準備をと思っていた時です。テントの外から「朝ごはん、お済みですか?」と男性の声。見れば昨夕の子供たちの一人、女の子も一緒です。男性はお父さんです。

「ええ。今、食べ終えたところです」
「そうですか。それではお昼にでも」
私はお礼をいいながら差し出された、ラップの包みとプラスチックのカップを受けとりました。
結局、女の子は一言も話さず帰ってしまいました。ラップに包まれていたのはサンドイッチと玉子焼き、プラスチックのカップには味噌汁が入っています。そして女の子からのイラスト付きのメッセージ「自転車で日本一周すごいと思います。がんばってください。おうえんしています」最後に学年と名前のT子が書かれています。

彼女は夕食時にでも公園で出会った私の事を家族に話したのでしょうか。「朝ごはん、持って行こう」そんな会話が想像されて暖かい気持ちになりました。

そういえば佐世保、外海町と二日連続、朝の公園で「ウチで朝メシ食べて行ったら?」と声をかけてもらっていました。散歩中とゴルフクラブをスウィング中のオジさんです。テント暮らしの朝は早く、残念ながら朝メシは終えています。ただし折角の好意、それに急ぐ旅でもありません。お宅にお邪魔してお茶や勧められたフグの肝入り味噌汁を頂きました。

私は旅先の観光地で集めた絵ハガキの中から何枚かピックアップすると、T子チャンの通う伊集院小学校へ向かいました。朝ごはん(転じて昼ごはん)のお礼に絵ハガキを渡したかったのです。
校庭では体育の授業が。担任と思える女性の先生に経緯を説明して、絵ハガキを渡してくれるようお願いしました。先生はT子ちゃんを知っており、快く引き受けてくれました。「もし機会があれば東京を案内をします」のメッセージと連絡先のメモも一緒に。

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伊集院から鹿児島へ、昼前に到着しました。写真は市内の城山をバックにデンと構える西郷どん、制服姿の初代陸軍大将の西郷隆盛像です。土台とも高さ8mあります。この像は鹿児島出身の彫刻家、渋谷の「忠犬ハチ公像」を制作していた安藤照の代表作の一つです。この時は何やら撮影中でした。

日豊本線をはさんで城山町周辺には西郷隆盛のゆかりの地が多くあります。続いては政府軍に追われ、鹿児島に戻った西郷隆盛が城山包囲網の続く中、最後の5日間をこもったといわれる洞窟です。最後は西郷隆盛終焉の地です。すでに銃弾を受けていた西郷隆盛は介錯を得ての自刃といわれています。

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写真は鹿児島駅です。続いて鹿児島側から見た桜島です。フェリー(280円)で桜島へ、船上からの写真です。まさに活火山、数分で噴煙の色が変わりました。
桜島は東西12キロ、南北10キロとほぼ円形です。大正期の噴火で大隅半島と陸続きになりました。島の南を海沿いに走ります。阿蘇山同様に道沿いの所々にコンクリート造りの退避壕があります。違うのは、大きさと数。桜島の退避壕は小さいのですが、2~300mごとに設置され数が多いのです。

錦江湾沿いを南下、佐多町大泊へ。ここで問題発生!! 佐多岬へ通じる私有の有料道路「佐多岬ロードパーク(約8キロ)」が徒歩と自転車の通行禁止、バス利用との事。しかも往復のバス運賃700円、さらに岬の展望料金100円、ナンテコッタイ。

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バスの乗客は私一人、運転手とお喋りしながら岬へ。有料道路のアップダウンを繰り返し、岬へと通じる遊歩道の入り口へ到着。「猿が出るから気を付けて。次が最終便だから遅れないように」と運転手から念を押されます。

自生するソテツ群を横目にうっそうとした木々を抜けると視界が開け、写真のハイビスカスが目に飛び込んできました。南国情緒たっぷりです。そして岬の突端の写真です。続いて佐多岬から見た対岸、薩摩半島の開聞岳です。

帰りのバスには農作業を終えた地元の人が乗ってきました。皆さんの会話がまるでわかりません。どうやら言葉を短くして喋っているようでした。大泊に戻るとすでに日は暮れ、そのまま種子島の明かりが見えるポイントでテント泊。現在、佐多岬ロードパークは無料解放、徒歩でも自転車でも通行可能です。

もう一つ、大泊のお店で買った豆腐がスゴいのです。出てきたのはレンガの半分ぐらいの大きさ、しかも持ち帰り用にシュロ縄でくくってくれました。それほどシッカリしたというか、これまで経験したことのない固い豆腐です。歯ごたえ(?)に負けないくらい味が濃厚でした。
最後は「これから行くからな」と、佐多町に戻った翌日に撮った写真です。開聞岳はどこから見てもきれいな円錐形をしています。

佐多町から来た道を戻り、根占町(ねじめちょう)の港からフェリーで錦江湾を横断、薩摩半島側の指宿、山川町の港へ。
この先、鹿児島からフェリーで沖縄へ行くつもりですが、私にはその前に行きたいところがありました。それはこの数年前にオープンした「知覧特攻平和会館」です。この会館は特攻基地があったということで知覧町が、現在は2007年に近隣の知覧町、頴娃町、川辺町が合併した南九州市が運営管理をしています。ということで、指宿温泉を後回しにして、知覧に向けて開聞岳のふもとを走り抜け頴娃町(えいちょう)の運動公園でテント泊。

この辺りはお茶どころ、生産量も日本一です。知覧茶は全国的に知られており、私も好きです。
1941年、知覧に陸軍の飛行場が建設され、飛行隊員の教育・訓練が行われるようになります。大戦末期になると機体に多くの爆弾を積んで敵艦船に体当たりする特別攻撃、いわゆる特攻基地となります。大隅半島側の鹿屋に海軍の特攻基地、鹿屋航空基地があり作戦を共にしていました。

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広い知覧平和公園の一角に「知覧特攻平和会館」はあります。館内には遺族から寄贈された遺品や遺影、特攻に関する資料など数千点が展示されています。遺書ともいえる家族に宛てた手紙には、どれも胸を打たれ目頭を熱くさせられました。館内は撮影禁止になっています。
知覧の町の所々に旧陸軍の施設跡が点在しています。また道路沿いには数多くの石灯籠が並んで立っており、特攻隊員の遺族や有志によって寄進されたと聞きました。写真は戦闘機をはさんで飛び行く息子と見守る母親の像です。

直接鹿児島へ向かわず、遠回り承知で来た道を指宿に向けて戻ります。途中、再び開聞岳のふもとを走ります。知覧の基地を飛び立った特攻隊員は先ず開聞岳を目印にし、さらに南の海へと敵艦船を求めて向かったといいます。

鹿児島から沖縄へ向かうフェリー便は翌日の夕方ということで、この日は指宿でノンビリします。飛び入り(?)で名物の砂風呂を体験。

次回、沖縄を一周します。

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