オレゴン州に入り2日目、初めてのパンクです。ロスを出てからまだ2,000㎞弱、日本製のタイヤは想像以上にすり減りが早く、完全にタイヤコードが露出していました。
私はパンクを修理し、前後のタイヤを入れ替えて走り始めました。明後日には Coos Bay という大きな街に着きます、そこで新しいタイヤを入手するつもりでした。
Coos Bay は港町です。早速、自転車店を探し、”Moe’s” というお店を見つけました。
「すいません。26インチのタイヤを探してるんですけど、ありませんか?」
店主のジムはすり減ったタイヤを見ながら、
「ないな。アメリカでは、26インチの自転車にあまり乗らないしね。特にこの650Bはないよ」
確かに私も見かけたことがありません。
「いま、シスコの問屋に聞いてみるから、ちょっと待っててくれる」
しばらくのあいだ電話をすると、
「そのサイズあるそうだ。よかったな。注文するぞ、どうする?」
「お願いします。3本。日本製のタイヤは柔らか過ぎるので日本製以外で。ヨーロッパ製がいいと思います」
「O.K. ヨーロッパ製だな」
ジムはやり取りのあと電話を切ると、
「タイヤが届くのは、来週の火曜日か木曜日になるよ」
「えーと、きょうは土曜日ですね。しばらくかかりますね。じゃ、来週また出直します」
タイヤ事情
当時のアメリカでは一般的なショップで26インチのタイヤの入手は難しいことでした。一方、ヨーロッパではどこでも手に入りました。私がヨーロッパで使用したミシュランの黒いタイヤは驚くほど丈夫でした。
少々オーバーですがリヤカーのタイヤのように太く、650の42Bか45Bだと思いますが、トレッドは減ったものの一度もパンクすることなく9,000㎞以上走ることができました。