さすが、若いK君は私より若干ペースが速いようで、遅れないように付いていきました。ナイアガラまでの行程は野宿となりましたが、1人より2人、毎晩酒を飲みながらおしゃべりする楽しい夕食となりました。
カナダ入国から4日目。ナイアガラ近郊の Welland の町で、後ろからきたロードレーサーに乗ったサイクリストが声をかけてきました。いろいろと話しているうちに「きょうはうちに泊まってノンビリして。あしたナイヤガラを案内するから」と、ガイドまで引き受けてくれました。2人とも彼の好意に甘えることにしました。
彼は20代後半、婚約者のジョアンと一軒家を借りています。アートデザイナーをめざして、近くの町の公立図書館でパートタイムで働いているそうです。
なぜか、NHK海外向け放送のファンで何枚もNHKのカードを持っていました。彼の家に着くと、時刻はまだ夕方、いい機会ですのでツールを借りて、以前から気になっていたヘッド、ペダルそしてハブのグリスアップをしました。
翌朝、遅めの朝食をとると、ジョアンも同行して、サンディの家から20数キロのナイアガラへ向けて出発しました。まずはカナダ側の滝が眼前にせまるポイントに案内してくれました。
幅670m、落差55mのナイアガラの滝です。轟音とともに、とてつもない量の水が落ちて行くさまは大迫力です。下をのぞくと、滝から落ちる水の勢いそのままに白く暴れる流れの中、木の葉のように揺れる遊覧船が見えます。
サンディの説明では、年数センチずつ滝の断崖の先端が削られており、数万年後には滝が消滅するそうです。また、冬は水量も減るのでしょうが、厳冬の年には、この流れの滝が凍りつく(滝つぼに落ちた水のはね返しが逆ツララ状に凍る)そうで、それにも驚きました。
さすが地元のサンディの完ぺきなガイドで、遊覧船乗り場やアメリカ滝のビューポイント、周辺の観光スポットなど、ひと通り案内してくれました。
最後にサンディとジョアンは私たちを近くのユースホステルまで送ってくれ、夜のナイアガラはひと味違うから、ぜひ見るようにと勧めました。ゆっくり観光するために、2泊の予定でホステルにチェックインしました。
(後年、サンディから届いた手紙には写真が同封され、自転車ラリーに参加したようすやマウンテンバイクで走るおもしろさなどが書いてあり、相変わらず自転車を楽しんでいるようでした)