若い人は、このブログを読んで「昔の旅行は結構不便なことが多いな」と感じると思います。北アフリカで経験したトラブルや不便さがいい例だと思います。
前に「カードとスマホがあれば簡単に海外旅行ができる」と書きました。スマホの検索機能を使えば、両替のために右往左往し、ガスカートリッジやお酒を探して町中を歩き回ったり、14軒もホテルを訪ねなくても済んだはずです。
ただ、当時の私にとっては全て当たり前のこと、不便に感じたことはありません。多少のトラブルも旅のうちと考えていました。
いまは日本への連絡も時差にかかわらず、スマホでメールできます。必要ならば、顔を見ながら通話もできます。
旅先では地図の役目、いながらにして交通手段のルートやタイムテーブルまでわかり、本も読めれば音楽も聴けるスマホ。カードを金庫に例えるならスマホは書斎。
金庫付きの書斎をポケットに入れて旅行ができるのです。
【日本から荷物が届きましたよ】
この日の朝、部屋のドアをノックする音とともに「ムッシュH、大使館から電話だよ」とフロントの兄ちゃんの声が。
あわてて3階から降りてフロントの電話器を取ると、声の主はhさんです。
「Hさん。日本から荷物が届きましたよ。よかったですね」
「はい、ありがとうございます。さっそく取りに行きます」
「はい、ありがとうございます。さっそく取りに行きます」
私たちは荷物を待つ間、ホテルの宿泊を延長し、よりディープなチュニスの街を知るべく散策し続けていました。ただ、正直なところいつ届くかわからない荷物に少々苛立ちと焦りを感じていました。
そんな時、1週間が経った4月8日にやっとhさんから連絡がきたのです。大使館で荷物をもらえると思っていましたが、どうやら違うようです。
「Hさん、この伝票を持ってチュニスの中央郵便局へ行ってください。そこで荷物を受けとることになります」
「ああそうなんですか。てっきり大使館でもらえるのかと思っていました」
「違うんですよ。そういう決まりなんです」
「わかりました。中央郵便局ですね」
「ああそうなんですか。てっきり大使館でもらえるのかと思っていました」
「違うんですよ。そういう決まりなんです」
「わかりました。中央郵便局ですね」
伝票を受け取った私に、hさんは
「話は変わりますが、Hさん、野球はやりますか?」
「えっ、野球ですか? 軟式の草野球ならやってましたけど」
「あーっ、そうですか。実は10日の日曜日にアメリカ大使館と野球の試合があるんですが、私たちのチーム、メンバーが一人足りなくて、もしよかったら、お願いしたいんですけど、どうでしょう?」
「明後日ですね、いいですよ。野球は好きですから。お役に立てば」
「話は変わりますが、Hさん、野球はやりますか?」
「えっ、野球ですか? 軟式の草野球ならやってましたけど」
「あーっ、そうですか。実は10日の日曜日にアメリカ大使館と野球の試合があるんですが、私たちのチーム、メンバーが一人足りなくて、もしよかったら、お願いしたいんですけど、どうでしょう?」
「明後日ですね、いいですよ。野球は好きですから。お役に立てば」
「いいですか、よかった。試合は午前中ですので、朝ホテルまで車で迎えに行きます。試合のあとにアメリカ大使館の連中とバーベキューをやりますから、W君でしたっけ、彼も誘ってみてください」
「はい、きっと喜ぶと思います」
「あっ、野球といってもソフトボールです」
「ああ、ソフトですか。どちらでも」
「はい、きっと喜ぶと思います」
「あっ、野球といってもソフトボールです」
「ああ、ソフトですか。どちらでも」
私には野球でもソフトでもどちらでも良かったのです。異国でグラブをはめてボールを追い、そしてバットが振れるなんて、まさかの展開が嬉しかったのです。