自転車で市内観光するため、朝、出勤するブルーノと一緒に家を出ました。
前夜のうちに観光スポットは聞いておきました。最初に向かったのはチューリッヒ中央駅に隣接する〈国立博物館〉。[アレッ、開いてないの?]私のチェックミス。改めて見ると、観光ガイドには月曜休館とありました。
次なる目的地、リマト川沿いにある〈フラウミュンスター寺院(聖母教会)〉へ。駅前広場から南へとチューリッヒ湖までのびる〈バーンホフ通り〉を進みます。1キロちょっとの並木道でトラムも走っています。
デパート、ホテル、レストラン、銀行と、いかにもといった街並みです。たいした賑わいですが、きのうの日曜日と違うのはビジネスマンが目立つことでした。
〈パラデ広場〉を右に見て、左に曲がるとチューリッヒのシンボル、青い尖塔のフラウミュンスター寺院が見えてきました。ブルーノの話では、教会が建てられたのは9世紀、その後何度か改築されたそうです。シャガールのステンドグラスが見事だから、ぜひ見るように言われていました。
フラウミュンスターの Frau (フラウ)とはドイツ語で女性の意味です。[アレッ、ここも開いてない? 教会も閉まっているのかな]入口はすべて閉ざされています。
シャガールのステンドグラスを諦めて、リマト川にかかる橋を渡り〈クンストハウス(チューリッヒ美術館)〉へ向かうことにしました。
美術館はウィークデーは10時から夜9時までオープンしていますが、月曜日だけは午後2時から5時までになっています。2000年代に入り全館改修され、現在では夜8時まで。月曜日は休館です。
時刻はまだ昼前、そこで人気スポットの〈ニーダードルフ通り〉を散策することに。橋を渡ると、フラウミュンスター寺院と対峙するように2本の尖塔が目を引く〈グロスミュンスター(大聖堂)〉が建っています。大聖堂の先を行けば美術館に出ます。その大聖堂前の広場から北へのびているのがニーダードルフ通りです。
通りの両側にはレストラン、バー、ホテル、その他いろいろなお店が並んでいます。こちらはバーンホフ通りと違って下町の繁華街といった感じです。[あとでどっか適当なレストランで昼飯を食べよう]
チューリッヒ美術館はスイスの芸術家の作品はもちろん、近代絵画の巨匠といわれる多くの画家の作品が展示されていることで知られています。
ルノワール、セザンヌ、ロートレック、モネ、ムンク……ピカソやゴッホの絵画もありました。特に絵画に興味があるわけではありませんが、ルノワールの作品があると見に行くようにしていました。
ルノワールの描くふっくらした女性やわかりやすい風景画に親しみを感じていたからです。ようやく探し出したルノワールの絵画3点、二枚の風景画に挟まれて中央の一枚には透き通るようなピンク色の美しい女性が描かれていました。
開館と同時に入館して約2時間半、多くの有名画家の作品を目の当たりにして私の気持ちはいつになく高揚していたようです。自転車はいつの間にか心地よい風を求めてチューリッヒ湖畔をサイクリングしていました。