当時、自転車大国といえばオランダでした。そこで目にした自転車に対する配慮や気遣いは私にとって驚きでした。この先オランダのブログで具体的に紹介するつもりでいます。
デンマークは平坦な国です。「自転車の利用者が多いな」「へぇー、コースターブレーキなんだ」ぐらいは道々感じていました。日本ではあまり馴染みのないコースターブレーキがデンマークの一般車に装備されていたのです。
ベダルを逆回転させて静止するので、競輪などピスト用自転車のいわゆる「踏み切り」と呼ばれる固定ギヤと混同しやすいのですが、まったく違います。
ピスト用自転車が一般道を走る場合はハンドブレーキの取り付けが義務づけられています。それに対して、コースターブレーキは JIS でも認定された制動能力を備えたブレーキで、ハンドブレーキを付ける必要はありません。
ただ、これといって他に自転車に関する印象がないというのが正直なところです。今日のように自転車先進国としてデンマークが世界から注目されるとは思いもしませんでした。
自転車の話ではないのですが、印象に残っていることがあります。
コペンハーゲン市内の中心部では大通りから一本入ると、古い石畳の道が市民の生活道路として残っています。昔は馬車や荷車などがガタゴト音をたてながら行き交っていたと想像できます。
石畳の道は歩道と車道が区別され、日本の縁石ほどではないにしろ段差がついています。その段差が同じような大きさの石を並べることによって所々埋められています。
つまり、歩道から車道へと緩やかなスロープが作られているのです。後から敷き詰められたようですが、見た目が馴染むようにうまく処理されています。
初めは[ここから台車や荷車の上げ下ろしをするんだろうな]そんな風に考えていました。ところが目の前をそのスロープを利用して車椅子で横切る人を見て、車椅子用のスロープだとわかりました。
古い石畳の通りにもちゃんと配慮がなされいるようです。これもひょっとしたらデンマーク風の今でいう人に優しい「ユニバーサルデザイン」の一つなのかも知れません。
もう一つ、こちらはあまりいい話ではありませんが、コペンハーゲンというとどうしても頭に浮かぶことがあります。
帰国後、しばらく経ってから北朝鮮による日本人拉致被害の実態が報道されました。その被害者リストの中にヨーロッパで拉致された方がいるのを知りました。コペンハーゲンでも拉致事件が起きていたのです。
1970年代から拉致は行われていましたが、コペンハーゲンの拉致事件は1983年の7月ですから、私がコペンハーゲンにいた1ヵ月前になります。
ロンドンで留学中の日本人女性がコペンハーゲンで消息を断ったのです。よど号ハイジャックの関係者に騙されて北朝鮮へ送り込まれてしまいました。[コペンハーゲンで?! しかも俺の行く1ヵ月前だなんて]大きな驚きでした。
さて、本題に戻ります。最近、日本の自転車が抱える実情や対策の参考としてデンマークでの自転車に対する取り組み方をテレビで見ることがたびたびありました。「はは~ん。アレだな」そう思う方もいるはずです。